11時10分。お母さんとお父が階段を昇ってきて、部屋に入った。ベッドの中で懐中電灯を付けた。お姉ちゃんがの顔が照らされて、僕と目が合った。どうする?と僕。お母さんアンアンするかな?
お姉ちゃんが息を呑んで、毛布を羽織って壁際に近づいていった。そのあとから、僕も。聴診器を壁にあて、二人で左と右に片方ずつ耳にいれた。 ねえ、あなた、そろそろお家買いませんか?いつまでも会社の上に住むっていうのも、なんか怖くて。
今は、ちょっと無理だろう。
それなら、もう少しきちんとしないと、セコムとかに入って。
セコム?何大丈夫だろ、うちにとるものなんかあるか?そりゃ、会社には、金庫が置いてあるけど、あんなの重たくて運べないだろう。すぐに捕まるよ。
夜中に下に行くの怖いのよ。トイレも、従業員の人達も入るじゃない、そう言うのも嫌なのよ。
何が嫌なんだよ?別にかまわないだろ。
私はいいとしても、京香なんかやっぱり、嫌なんじゃないのかしら。
何、ナプキンがか?
ええ。
まあ、あり得ないこともないけど、べつに見られたっていいじゃないか。
え?
そうもいかないか。まあ、そのうち考えるよ。けど今は、家をどうこうしようとは考えてないよ。もう少し我慢してくれないか、雅美さん。いいだろう。
昨日もしたじゃない。
雅美さん。雅美、愛してるよ。
※元投稿はこちら >>