雨がやみ、教会を後にした。信号を待ちの横断歩道の水たまりには青空。母と手をつないで寮に戻って、お昼を食べにレストランにきた。席について、料理を注文し、あれこれ母と笑いながら話していたら、僕たちのテーブルの前に男が現れて、母の隣に腰を下ろした。あの母の監視役のロシア人だった。目が合った。無表情のまま、母の腕を掴んで、店から母を連れ出し、表の駐車スペースに止めてあった車の後部座席のドアを開けて母を乗せ、行ってしまった。あまりに突然の出来事に、僕は、追いかけもしないで、回りの目を気にして、ただ見ていることしかできなかった。
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