僕の両手は、母の乳房の柔らかさというものを初めて感じていました。場所が場所だけに、ほんの4~5回でしたが、確かめるように揉んでしまいました。
海パン芸人が去り、あれだけ多く集まっていた客は一気にいなくなり、止めていた歩を進め始めます。
僕は母の胸に回していた手を離し、母も何もなかったかのように少しズレたブラジャーを直すのでした。
母は振り返り、僕に何かを言おうとします。しかし、『行くよ!』と言って手を握ると、『こいつにはやられた。』とばかりに、素直に歩き始めるのでした。
母と手を繋いだまま、モール街の散策になります。AEONなので、どうしても若者向けのお店が多く、母はどのお店にも興味を示しません。
それでも僕はどこか楽しかった。母と、いや自分が女性と手を繋いで歩けていることに嬉しさを感じているのです。
母はどうでしょう。父と手を繋ぐ姿など僕は知りませんし、10何年ぶりのことかも知れません。『きっと喜んでいる。』、そう思いたかった僕でした。
時刻は15時を回りました。立ち寄る店もなく、ただブラブラと歩いているだけで、雰囲気的には『もう帰ろうか?』という感じです。
それを察し、『買うものない?出る?』と聞くと、『帰ろう。歩き疲れたわ。』と素直に母は答えます。その足で、屋上の駐車場へと向かうのでした。
エスカレーターに乗りました。入店してくる家族連れとすれ違うと、母の手が僕から離れます。人もまばらになると、母も照れくさいのです。
屋上に着きました。母は身を隠すように、急いで車の中へ乗り込みます。そのため、ワンピースのスカート部は乱れ、それを直さなくてはならない母でした。
裾を直しながら、『どっち行く?』と僕に聞いて来ます。AEONがあったこと自体が奇跡です。その先など、考えているはずもありません。
それでも、『さあ~、どっちに行こうか~。』と含みを持たせて、僕は答えるのでした。
頭の中で、K県の思い出を呼び起こします。『この時間から行ける場所。』『母の面白がりそうな場所。』、必死で考えます。
ところが、それが無駄に終わることになるのです。車を発進させたのはいいか、とにかく駐車した場所が悪かった。
日曜日のAEONということもあり、渋滞でなかなか車か進まないのです。『これ、一時間くらい掛かるんじゃ?』と思えるほどゆっくりとしか進みません。
『隣の母は嫌になっていないか?』と考えると、この進まない渋滞に僕もイライラとして来るのでした。
『あそこで、おっぱい触られると思わなかったわぁ。』と母が口を開きました。『なにか?』と答えた僕でしたが、顔が赤くなります。
あの場だから出来たことで、『いま、この場で。』と言われたら、たぶん出来ません。『なにが?でないわぁ~。私、ビックリしたわぁ~。』と母が言います。
僕は何も言わず、してしまった自分を思い出してクスクスと笑います。『なに笑ってんのよぉ~。』と呆れたように言う母。
車内には笑い声が溢れ、さっきまでのイライラとした雰囲気など無くなっていました。やはり、僕の母でした。
僕のイライラを察知して、会話で僕を和らげてくれたのです。
『おっぱい揉んでやった…。』と言うと、『なに嬉しそうに言ってるのよ~。犯罪よ、犯罪。捕まるんよ。』と笑って返してくれる母。
父の影響なのか、この辺のエロ話など普段はしたこともなかった僕と母でしたが、父の枷が外れた影響なんでしょうか。笑って言いあえているのでした。
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