菊田は頻繁にうちに来た。夕方5時15分前後パチンコ屋の仕事終わりに。漫画だけ読んで帰るだけの日もあるのだが、だいたいが母をオカズにシゴいて帰る。菊田は来るとまず歯を磨く。母の歯ブラシで。そしてすぐにベランダの洗濯機に行って母の下着を取り出して匂いを嗅ぐ。なあサトル。はい。アニキ。僕は菊田にそう呼ぶように強要されていた。お母さんのお尻に墨入れてもいい?毎回僕にそう聞いてくる。菊田の背中には中途半端な刺青が入っていた。金が足りないなくて仕上がらなかったらしい。まだ途中なのだとか。どうかなぁ。と僕は言う。刺青なんて興味ないです。お母さんにさ、と菊田が言う。ケツに蜘蛛槌のグロテスクなのをさ。知らねえよ、と思いながら聞いていた。ケツに入れたなあ。里美のケツに蜘蛛槌入れて毎晩それ見ながら日本酒を飲む。あーたまんねー。男のロマンだぜ。なあサトル。そう?と僕が言うと、そうですか?だろ!アホかこいつと思った。でも刺激が欲しい僕は、そうですか?アニキ。里美は生理も上がってんだろ、と菊田が言った。俺の子供産めないんだから、ケツに蜘蛛槌の刺青くらい入れたっていいよ。でも、と僕は言った。蜘蛛って悪趣味ですよね。せめて花がいいんじゃない?何言っんだよ。と菊田が言った。里美なんか蜘蛛槌で充分だよ。公衆便所なんだからさ。
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