母は、その事実を淡々と語っていた。内容が内容だけに、僕も気を使わなくてはいけないのだろうが、母の語り口を止めることが出来なかった。
母の説明が終わった。よかったのは、それを聞いても僕は母を嫌いにはならなかったということ。真面目に真実を語ってくれた母に好感さえ覚えるのでした。
それから一ヶ月くらいが経った。もちろんその間も、母と兄のことを何度も考えていた。兄には申し訳ないが、母が不憫に思えて仕方がないのだ。
モンスターを倒す勇者ではないが、なんとか救える方法を模索するのでした。
ある夜、僕は仕事帰りに母の家に居ました。突然の訪問に、母も『とうしたの?』と少し驚いています。
僕は、『ちょっとちょっと。』と言ってあがり込むのでした。母を救える方法は見つかりません。それでも、『僕が一緒に居れば。』と考えての行動です。
僕に真実を話した母。そのため、兄との生活は普段通りに行われました。『ちょっと、お兄ちゃんお風呂入れてくるわ。』と兄を連れ、風呂場に向かいます。
母の笑い声、兄をなだめる言葉、そして兄の奇声がお風呂から聞こえていました。
しばらくすると、風呂場の扉が開き、大きな足音が聞えます。その足音は、兄の部屋へと消えて行きます。
それを追うように、『服~!服、着なよぉ~!』と母が風呂場から叫びます。兄は、子供のように全裸で出てきたのでしょう。
それを聞き、どこか懐かしい気分になります。昔はこんな母の言葉を、毎日のように聞いていました。ひさしぶりに、明るい母を感じます。
母は有り合わせで、僕の夕食を作ります。自分の弁当をコンビニで買って来ていたのですが、母はそれを良しとはしなかったのです。
久しく母の手料理を食べてなかったため、その味はどこか懐かしく、家庭の味を思い起こさせるものでした。
テレビではハラエティが、それを母と観るのです。空白の時間を取り戻す、そんな感覚です。
しかし、それを壊したのは、やはりモンスターでした。Tシャツに、下半身は全裸で現れた兄。この股間はすでに勃起をしていて、手で握り締めています。
奇声をあげて現れたかと思うと、獣のような目で僕を敵のように睨み付けます。僕も立ち上がり、もしものために構えるのです。
母が割って入ります。『お兄ちゃん~、どうしたの~?しっかりして~。』と幼い子供のようになだめようとします。
僕に敵意を見せていた兄でしたが、その目標が変わりました。母を獲物のような目で見るのです。
母に襲い掛かったかと思うと、その目はもう下半身しか見ておらず、手はスカートの中へと入れられます。
『お兄ちゃん、わかったわかったから~!』と言って抵抗する母。しかし、スカートの中の下着は、もう兄の手がしっかりと握っているのでしょう。
気がつけば、僕は止めに入っていました。しかし、身体の至るところに激しい痛みを感じます。僕よりも一回りも大きい兄の拳。
遠慮を知らない人間が、こんなに恐いとは知りませんでした。手加減はせず、『殺すまでやめない。』とそんな恐怖なのです。
『タカー!離れてて!お兄ちゃんの好きなようにやらせてあげて!!』と母が叫びました。その言葉を聞き、僕は引き下がります。
母は『お兄ちゃん!怒らない怒らない。したい~?しよかぁ~?』と兄をなだめ始めるのです。
兄の手には、母のパンティーが握られていました。激しく脱がしたのか、伸び伸びになってしまっています。
『タカ、ちょっとここでおってよ。』と言われ、母は兄を連れてあの部屋へと消えました。
扉はしっかりと閉められ、しばらくするとリズミカルな兄の奇声があがっていました。
さっきまでの母との生活がウソのようです。そして、僕は自分の無力さを感じてしまいます。モンスターを倒す勇者にはなれなかったのです。
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