レイコ「じゃあねぇ~ お二人さん!」
「私、これから用事が有るので出掛けるからねぇ~(笑)」
「ふふふっ!」
「あ! そうだ!! 二人とも?!!」
英樹・あや「なっ?・・は、はい?!!」
レイコ「ごゆっくり~!!(意味深)」
英樹「・・ごゆっ、くり?・・」
あや「・・・・・(照れ)」
レイコは自分の都合を満足させるタイミングで相手を呼び出して置いて、その癖その自分の用事の為にさっさと早抜けをする。
するとそんな若い二人はレイコの要らぬ気遣いに依って、広い家の中で二人きりになって仕舞った。
英樹「ははっ?・・何をゆっくりするんだろ?」
「ねえ? あや?・・・」
彼があやの方へ首を回すと、そこにはいつもの明るくて快活な彼女とは似ても似つかないお淑やかな女性が、ソファーに一人ポツンっと座っている。
英樹「・・ななな、なんだか静か過ぎるよね?・・・」
「・・テレビでも点けようか?・・ね?・・」
あや「・・・・・」
英樹「なっ?・・なんか言ってよ~・・ねえ?あや?」
あや「・・・・・(笑)」
彼女は目の前にいる彼との将来を決めてくれた真の姉に心から感動して、その震える魂に呼応する口からは、どうしても適切な言葉が出て来ない。
英樹「・・はああ~・・・」
「・・・・・」
「・・まあ、そりゃそうだよね・・」
「お母さんからいきなりあんな事を
決められちゃってもね!・・」
「誰だって戸惑うし、嫌とは言い難いしねぇ~!」
そんな彼の言葉を聞いて、彼女は”ちがうちがう“と無言で首を横に振る。
英樹「お母さんって結構強引な処が有るからな~」
「そりゃ僕だってあやみたいな素晴らしい女の人が
お嫁さんになってくれるんなら願ったり叶ったり
だけどね~・・」
彼からの素直な自分への気持ちを聞いて、彼女は両手を握り締めて”うんうん“と首を縦に頷く。
英樹「あっ! あやも言いたいことが有るんなら
なんでも言ってよ!」
「僕がさり気無くお母さんに伝えておくからね!」
彼女は自らの気持ちがなかなか彼に伝わらない事がもどかしかった。
そんな二人は語り掛ける言葉も尽きて、只々無言の時を過ごし始めて仕舞う。
英樹「そろそろ夜も遅くなって来たし・・
ねえ、あや?・・もう帰る?僕、送るから・・」
彼が壁掛けの時計を見ながら彼女の方を振り返ると、そこにはうな垂れて両手を固く握り締めたままの彼女の姿があった。
あや「・・・わたし・・じゃだめ?・・・」
英樹「えっ?なに?・・ごめん! よく聞こえなかっ・・」
あや「私じゃダメかな?・・」
「英樹のお嫁さんにはなれないのかな?」
彼は彼女からのプロポーズの言葉をハッキリと聞いて仕舞う。
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