レイコ「・・って先ずはその前に!」
「私の話に付き合ってくれないかな?」
あや「姉さんの・・おはなし?」
レイコ「うん!そうよ!・・私のお話!」
英樹「・・お母さん?・・」
レイコはあやのカミングアウトを受けて、どうしても自らの過去を皆に知って貰い、そしてその上で理解して欲しかった。
レイコ「私の父親はさぁ・・男色家なのに両刀遣いでね!」
「母は父にとって社会からの体裁を保つだけの存在で・・
私は両親が仲良くしている処を
只の一度も見た事がなかったのよ・・」
あや「姉さん?・・・」
英樹「僕のお爺さんと・・お婆さん?・・」
レイコ「父親の性癖を知って仕舞った時は・・
本当にショックだったなあ~!!」
「それに色々な人と知り合ってやっと見つけた彼も
英樹を残してあっという間に死んじゃったしね!」
「だから私ってちょっと自棄(やけ)になってたのかもしれない」
「風俗入りしたのも、それが原因だったかもしれないし・・」
あや「姉さん?・・姉さんにもそんなつらい過去が・・」
英樹「・・・・・」
レイコ「そんな時にさ・・あんたが店に現れた!」
英樹「ぼ、僕が?・・あの時の事?・・」
レイコ「びっくりしたなあ~!! ホントびっくりした!」
彼はミストラルへ潜入した時の事を思い出してすかさず赤面して仕舞う。
レイコ「でもね! 私・・逆に運命だと思う様になったの!」
英樹・あや「運命?!!」
レイコ「だってよくよく考えてみて?!!
今、こうして三人でここに居る事自体が不思議でしょ?」
英樹「ま、まあね! そう云われたら・・そうかもね!」
あや「私!! 姉さんの想いが分かる気がする!」
レイコ「でしょでしょ?」
「・・だから・・」
「だから英樹?!!」
英樹「は、はい?!! なに? いったい?」
レイコ「あんた!! あやと婚約って事で構わないよね?!!」
英樹「こここ・・婚約うぅ~~??」
レイコ「あやもいいわね?!!」
あや「・・・・・」
あやは顔を真っ赤にして俯き、いきなり涙をこぼし始めて行く。
そんなレイコは前々からそれとなくあやの気持ちを探っていたのだ。
レイコ「よしっ!! じゃあ決まった!! ねっ!」
英樹「きき決まったあ~~??!!」
「こんやくを~~??!!」
レイコ「なに?!! 英樹?!!
あんた!! なんか文句でもあるの?(怖い顔)」
英樹「もも文句も何も~???」
「あああやに聞いてみないと?」
あやはレイコの膝を借りて、自らの顔を押し付けて只ひたすらに泣いている。
英樹「僕って一体、どうなっちゃうの~???」
夜のとばりが降りる頃に彼の悲鳴だけが何処までも遠く鳴り響いていた。
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