レイコ「は~い!!これ!」
「温かい内にぜ~んぶ飲んでねぇ~!!」
「残しちゃダメよ~!」
彼女はスッポンエキスの入ったスープを彼の前に差し出しながら、にこやかな笑顔を振りまいている。
英樹「おっ、OK!・・分かった、けど・・・」
「あの・・朝からこれ全部・・平らげなきゃいけないの?」
テーブルを前にした彼の目の前には、様々な精力増強を目論んだ料理が並んで居る。
今朝の食事は彼女が腕に依りを掛けて用意した物ばかりであった。
レイコ「ぜ~んぶ英樹の為に作ったんだよ~!」
「残さずに食べてね! うふっ!(笑)」
英樹「ぼ、僕の、為に?・・(疑)」
彼は彼女が云っている言葉を信用する事が出来なかった。
英樹「いっ、いただきます?!?!」
レイコ「は~い!!たんと召し上がれ~!!」
今日は彼女が待ちに待った”火曜日“である。
彼女はあれからジョギングなどの運動を始め、ありとあらゆる身体の為のケアを欠かさずにいた。
レイコ「ど~お? 英樹ぃ?」
「私って、少し痩せたかな?」
昨日の今日では傍から見ての変化など有ろう筈もない。
英樹「お母さんは前から最高のプロポーションだよ!」
「これ以上痩せちゃったらガリガリになっちゃうよ?」
レイコ「う~ん!英樹ったらぁ~・・」
「最近はお世辞まで上手くなっちゃって~!!」
彼女は食事中だと云うのに、椅子から立ってくねくねと身体を捩らせ、モデルの様なポーズを取ってうっとりとして居る。
そんな彼女は今朝から上機嫌で有った。
レイコ「そう云えば、あんた!」
「学校で友達とか出来たの?」
そして浮かれた勢いで彼に質問をする。
彼はこの春から大学に通い始めている。
英樹「友達って?・・」
「お母さん・・僕、まだ大学に通い始めて
2か月ちょっとしか経ってないんだよ?」
「そんなに早く親しい奴が出来る訳ないじゃ・・」
彼がそこまで話すと彼女が言葉に割って入って来る。
レイコ「やっぱりおっきな学校だもんねぇ~」
「可愛い女の子なんかもいっぱい居るんだろうなぁ~?!」
彼は彼女の言葉を聞いて、頭にピーンと来た様である。
英樹(はは~ん!・・お母さんったら早速僕の
身辺が気になり始めたんだな?・・)
彼は彼女の気持ちを最大限に忖度して、不必要な心配を掛けない様に気を遣う。
英樹「男の知り合いは何人か出来たけどねぇ~」
レイコ「じゃあさっ? 女の子、とかは?・・」
英樹「うちの大学には余り可愛い女の子とかは居ないかなぁ~?」
レイコ「そっ、そうなの?!!(かなり期待)」
英樹「うん!」
「まあ、僕の方が元々興味が薄いってのも
あるかもしれないけどね~?」
レイコ「そうなんだ!!」
「うんうん!! 分かった!!」
「やっぱりねぇ~・・そっかそっか!!」
彼女は顔を満面の笑みで覆っている。
彼はそんな彼女の嬉しそうな表情を見ながら、目の前の料理にパクついていた。
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