レイコ「んっ、もう!!山本さんったら
ホントにイイ男なんだからぁ~!!(笑)」
山本「はははっ!(笑)」
「全く!いきなり帰って来たのかと思いきや
箱(部屋)を一つ貸してくれなんて・・」
「しかもたった半日の間だけって・・」
「本当に前代未聞だよ?!!」
彼、山本は彼女が働いていた店の支配人である。
今日、彼女は彼に一つのお願いを持って店にやって来た。
レイコ「そこをなんとか!!」
「お願い致します!!」
彼女はパンパンと二つ柏手を打って、彼に心からのお願いをする。
山本「え~っと・・来週の・・初めの方、だったっけ?」
レイコ「そうっ!!そうなの!!」
「出来れば月、火、水のどれかに
して貰えると有難いんだけど~?」
山本「週初め、かぁ~?・・う~ん!」
彼はスケジュール表を見ながら頭の中で調整をしている様であった。
山本「・・なんてね!!」
レイコ「はあ?・・」
山本「他でも無い、カオリちゃんに頼まれちゃあ
”うん“と言わざるを得ないでしょう!」
レイコ「ほっ、ホントにぃ~?!!」
山本「だってウチのナンバー3を張ってた人の
たっての頼みだもんねぇ~!」
レイコ「ありがと~!!」
「いよっ!! 男前っ!!」
山本「はは(笑)」
「それよかカオリちゃん?」
レイコ「もうっ、止してよ~・・そっち(源氏名)の名で呼ぶのは!!」
「私はもう、れっきとした主婦に戻ってるんだからぁ~!!」
周りに居る彼女と親しかった女性達も、クスクスと笑っている。
山本「君のファンがさぁ~・・何時まで経っても
納得してくれないんだよなぁ~・・」
「支配人さん!! 何時になったら
彼女、復帰するんですか?ってねぇ~!!」
レイコ「もうっ、その話は止して!!(笑)」
控え室の中は屈託の無い笑いで溢れていた。
しかも、誰一人として彼女が部屋を借りる理由を尋ねようとはしない。
ここは、この業界と云う環境はそう云う”阿吽の呼吸“で成り立っているのである。
レイコ「それじゃあ、経費は振り込みと云う事で・・
よろしいですね?」
山本「はい!よろしいですよ!!(笑)」
レイコ「内容は・・店のシステム通りで?」
山本「はい!それも結構です!!」
「っと、まあ・・これって?・・」
「一種の短期アルバイト・・みたいなもの、かな?」
レイコ「プッ!!(笑)・・くくくっ!」
山本「ふふっ!(笑)」
店の女の子達「ふふふっ!(笑)」
部屋の中は、また笑いに包まれた。
そんなうわべだけではない和やかな雰囲気は此処ならではの空気感である。
そしてそれは身体を張って金銭を稼いでいる彼女達が持つ、一つの心意気なのかも知れなかった。
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