季節は淡々と移り行き、ここ澤村家でも息子の大学受験から合格発表迄の日々が、あっという間に過ぎ去って行く。
そんな或る日の事。
今日は、その合格発表の日。
母のレイコは息子である英樹の吉報を待ちながら、そわそわと忙しく家の中を動き回っている。
レイコ「まだ?・・・まだかな?」
「・・・・・」
「・・う~ん! じれったいなぁ~!・・」
「・・そうだ!!」
彼女は彼からの連絡が待ちきれずに、自分から状況を聞き出そうとスマホに手を遣ると。
レイコ「来た?!!」
それとほぼ同時に彼女へ連絡が入る。
レイコ「英樹ぃ?・・どうだったの?」
「ええっ?!!なに?・・良く聞こえないよ?!」
通話の先の状況は、かなりの騒がしさである。
レイコ「うん! うん?!・・・ええっ?!!ホントにぃ~?」
「うん!分かった!・・じゃあ待ってるから・・」
「はい!・・じゃぁねっ!・・おつかれさま!!」
彼からの連絡は嬉しい知らせであった。
レイコ「よっしゃぁ~!!」
彼女は両手を胸の前で握り締めて、歓喜の叫びを上げる。
レイコ「え~と、え~っと・・・」
「・・え~・・・そうだ!!」
彼女は嬉しさの余り混乱する自らの心を落ち着かせる為に、以前から計画していた或る小さなイベントに向けて、その準備をせっせと整え始めた。
レイコ「英樹ぃ~!!待ってなさいよぉ~!!」
彼女の胸は”ワクワクドキドキ“と張り裂けそうな程の高鳴りを憶えている。
そんな彼女が家で待ち構える一方、彼はルンルン気分で家路を急いでいた。
英樹「んっあああぁぁ~!!」
「やっと終わった~!!」
「これで少しは羽を伸ばせる・・っぞ~!!」
彼は受験が終わった開放感からか、目に見える全てのモノが輝いて見える。
そんな彼には、これから過酷な程の大きな快楽が待ち受けて居ようとは露ほども知らずに居たのであった。
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