二人は握り合っていた両手を互いの身体の後ろへと廻して強く抱き締め合い、更に唇を密着させてその柔らかな感触を味わっている。
レイコ(わっ、私ったら・・この子とキスしちゃってる!!)
(ああっ?!!なに?・・なになに?)
(はぁっ?・・いや~ん!!もうっ!!)
(英樹の奴ったら・・舌を入れて来るぅ~?!!)
(しかもしかも?・・なに?・・唾を入れて来て?)
(あぁぁ?・・また吸い出して?・・それを?)
(それをゴックンしたぁ~~??!!)
彼は夢に迄見た母親の唇を我が物として獲得し、真近で匂う彼女の甘い香りを堪能しながら、その柔らかな唇の感触を脳に刻み込み、加えて互いに混ぜ合わせた唾液を美味しそうにゴクゴクと飲み干して行く。
そしてその勢いは彼女の身体に在る水分の全てを奪い去る覚悟に満ちていた。
英樹「おっ、お母さんっ!!」
(おかあさんの唾液って甘い?!!・・それに・・)
(・・それに美味しい!!・・)
(あああ!!・・・ぜんぶ?・・)
(お母さんの身体から全部吸い出したいっ!!)
(飲み干したいよぉ~!!)
彼は彼女の甘い匂いや味と、時折発する切ない喘ぎ声をダイレクトにその脳で感じて、次第にくらくらとそれを麻痺させて行く。
しかし残酷にもその時は迫っていた。
二人の天にも昇る様なプレイ時間は終了した。
彼女は壁掛けの時計で時刻を確認しながら、彼を無理矢理に自分から突き離して行く。
レイコ「・・はっ?!! もう時間が?・・」
「・・・・・」
「ひでき?・・ねえ?聞こえてる?・・」
英樹「は、はぁ~い!・・きこえてますよぉ~?」
彼は未だ呆けた様な顔をして、夢の中を彷徨っている様である。
レイコ「ん、もうっ!! しっかりして!!」
「時間が過ぎちゃってるの!!」
「はやくっ、早く支度をしてっ!!」
英樹「オ~ケ~、わかったぁ~?・・・」
二人は先程の夢の様なキスからいきなり現実に引き戻されて、あたふたと後片付けを始める。
そんな彼女は忙しく動き回る傍ら、彼へと最後の決意表明を行う。
レイコ「わたし・・私、次から無帽の接客を辞める!!」
無帽(帽子無し)とは業界用語でコンドーム無しの事である。
NS接客を辞める事は大幅な水揚げ減を示す事柄である。
しかし彼女はこの先一切、英樹以外の精液を自らの胎内に受け容れる事を辞めたのだ。
レイコ「それと・・お店もいずれ辞める!!」
「・・・それで・・・」
「・・それで、いいよね?・・英樹?・・」
英樹「それって?・・でも・・」
「良いも何も、お母さんが決めた事だから・・」
「でも・・・」
レイコ「・・えっ?・・でも?・・」
英樹「やっぱり嬉しい!!」
「だって・・僕だけのお母さんに成るんだもんね?」
「ねっ?!! おかあさん!!」
レイコ「うん! そう!!」
「私は貴方だけの母親・・そして・・」
「・・そして、貴方だけのパートナー・・」
「ず~っと。そして多分、最後まで・・」
英樹「じゃあ、それじゃあ僕も決めた!!」
「受験が終わるまでは、お母さんには指一本触れない事にする!!」
レイコ「ん、まあ?!!」
(それはそれで、ちょっと寂しい、かな?)
英樹「そして、そしてちゃんと大学に受かったら・・」
「お母さんにプロポーズをする!!」
「正式に、ね!!」
レイコ「・・・・・」
「・・・・・(泣)」
「・・あんたったら・・」
「もうっ! あんたったら!!(大泣)」
英樹「?・・お母さん?・・」
「・・泣いてんの?・・」
レイコ「・・もうっ、知らないっ!!・・」
英樹「・・何だかよく分からないけど・・」
「・・ごめん!!・・」
レイコ「・・何でアンタが謝るのよ?・・」
英樹「・・だって・・」
レイコ「謝るのはこっちの方よっ!!」
英樹「・・なんで?・・」
レイコ「・・なんでって?・・」
「・・だって・・」
英樹「・・・・・?」
レイコ「・・だって・・だってだって・・」
英樹「・・お母さん?・・」
レイコ「たとえ・・例え赤ちゃんが出来ても
あんたは親には成れないのよ?!!
分かってるの? それでも構わないの?・・」
英樹「そっかあ~・・う~ん、まあ良いんじゃない?
兄弟が増えたって思えば・・ねっ?!!」
レイコ「もうっ!!あんたったら・・ばかなんだからっ!!」
英樹「まあ、あんまり頭は良く無いよね?」
「お母さんの息子だから・・ねっ?」
レイコ「もうっ!!ホントに失礼ね!!(更に泣)」
彼女はこの歳にして、二人目の真の愛を探し出す事に成功した。
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