禁断 LOVERS ー出会ってはいけない2人ー 20
まさか初めての彼女が思いっきり歳上とは…
てっきり俺の中では同い年くらいの女の子で
同じく高校に通い下校時なんかは一緒に
デートをしながら最寄駅で
「ユウくん…また明日…」
「ああ…また明日な…」
「帰りたくないよ…ユウくん…」
「泣くなよ…ほら電車出るぞ…」
「寝る前に連絡してね…」
「ああ…わかってる…」
「絶対だよ…」
*妄想会話終了…
な~んて事して高校生活をエンジョイしてると
思ってた。でも今はユキさんと一緒になれて
本当に良かったと思っている。
学生特有のラブラブは無いけども…
でもあと少しで親父の奥さんである
サヤさんに本気になりそうだったのだから
これで良かったのかも…
禁断の恋に落ちなくて良かった…
なんとか自分に言い聞かせている。
ユキさんは買い忘れがあったとの事で近くの
スーパーへ…俺はひとりユキさんの家で
留守番をしていた。テレビを見ていた最中に
ふと目に入ったのがベッド横にある
カラーボックスにあった一枚の写真…
何気なくその写真と取って見てみた
そこにはひとりの子供の姿が…野球帽を被り、
手には戦隊ヒーローが持っている武器が
(俺もこの帽子被って、このヒーローの武器
持ってよく公園で遊んでたな~)
何故だか子供の頃の自分と重ね合わせていた。
でも誰だろ?この子供は?親戚の子かな?
この時はそれくらいにしか思っていなかった。
その時、「ただいま~」と玄関のドアが開いて
俺を見たユキさんはいきなりハッとした顔をした。
勝手に見た事に怒ったかと思ったのですぐに俺は
「あ、お帰りユキさん…ごめん勝手に写真見て…」
ひとこと謝ったが、ユキさんは俺の方を見て
ひと呼吸してボソッとひと言…
「その写真の子…実は私の子供なの…」と告白した
流石にびっくりしたがこんな綺麗な人が、
生涯独身だってのも信じられなかったので
妙に納得してしまった。
写真の裏を見るとユキさんの字で「優樹4歳」と
書いてあった。あれ?俺とおんなじ漢字の名前…
「ユキさん…子供の名前…ユウキって読むの?」
「そうよ…偶然…ユウキ君とおんなじ…」
「いやいや、この子もこの漢字でユウキなの?」
「ええ…私とおんなじ漢字でこの子はユウキ
私はユキって読むの…」
「俺も…この漢字でユウキだよ…」
「えっ…」ユキさんは言葉を無くした……
意外と漢字まではお互い知らなかった。
盲点だった…
「も、もしかして…ユキさん…ユキさんが
俺の母さんじゃないよね…?だって、
だって俺の母さんは俺が5歳の時に死んだし…」
でも俺はその昔、親父から死んだ母さんと
お前の名前の漢字は同じだけど
読み方が違うんだぞって事を聞いていた。
まさかユキさんがそうだったなんて…
「ユウキくんのお母さんも5歳の時なのね…」
全てを悟ったのかユキさんはその場に
泣き崩れてしまった。
俺も知らないうちに涙を流していた。
まさか初めて心から愛した人が…
死んだと言われていたお母さんだったとは…
自然と2人抱き合いながら涙を流していた…
落ち着きを取り戻したユキさんは当時の事を
言葉を選びながら静かに話し始めた。
当時から親父は仕事人間で俺の面倒を含めた
全部の家事はユキさんがしていた。
俺は内心専業主婦なら…とも思っていたが
実はそこには親父のお袋も同居しており
基本的には義母と2人で24時間いる状況…
ちなみにすでに亡くなってる俺の婆ちゃんは
足が不自由で一人で歩けなかったので赤ん坊と
年寄りの身の回りの面倒を一人で観るのは
大変だっただろう。そんな時ある事件が、
俺が5歳になる少し前の事…
俺は熱湯を自分の足に誤ってかけてしまったらしい
今は綺麗に跡もないが当時は一年近くあったみたい…
その事故からユキさんは毎日…毎日…お婆ちゃんに
火傷の事を責められていたとのこと。
親父も基本的に家にいないし…誰も母さんを
守ることが出来ず…耐えられなくなっていき…
俺が5歳の時にユキさんは家から俺を残して
出て行ってしまった。
それがお袋は俺が5歳の時に死んだと言う真相…
その真実を知ってその日は呆然と一人
家に帰りこの日はそのまま部屋に閉じこもって
しまった。死んだ婆さんにも責任はないが
ちょっと言い過ぎたんじゃない?なんて
1人…自問自答…色々な事を考えてひとつひとつ
整理しようと思った。
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