夕飯を済ませ、少しすると源治は風呂に入った。源治と暮らすようになってから、佳代が先に風呂に入る事は無かった。洗い物を済ませ、珈琲を飲みながら女性誌を見ていた。風呂上がりの源治が冷蔵庫から缶ビールを持ち佳代の正面に腰をおろした。そしてこう切り出した。
『実はね佳代さん。俺は死んだあいつ以外の女を知らないんだ。いや、結婚前は何人かと交わったけど、結婚してから駄目だったんだ。』
佳代には何の事なのか、知らないって何なのか。
「えっ?お義父さん何の事?」
何となく把握してはいたが。
源治は他の女としようとしても勃起しないことを告白したのだった。まるであいつに呪いでも掛けられたのか?とも言った。佳代は何も言えなかった。しかし、妻にとっては浮気が出来ないのなら、そんな呪いの方法を知りたいとも思った。
「それは本当なの?男の人ってそんな事があるの?」
佳代は精一杯だった。それ以上何も言えなかった。
「私に打ち明けられても、私には・・あっお風呂入って来ますね」
体を洗って湯船に浸かりながら思った。男の人って誰とでも出来るって思ってた。お義父さんはデリケートなのかなぁ。そんな風に思っていた時、脱衣室の人影に気付いた。紛れもなく義父の影。その瞬間無言で浴室の折れ戸が開いた。義父が全裸で立っていた。
『すまん、佳代さん一緒に入りたいんだ』
眼を見開く佳代。驚いて言葉が出ない。そして一瞬義父のそれを見てしまった。
「お義父さん何を考えているんですか?出て行って下さい。」
湯船に話すように訴えた。浴室から出たかった。しかし立ち上がれば体を見せてしまう事になってしまう。源治が折れ戸を閉める音が佳代を硬直させた。
『何もせんよ。ただ入りたいんだ』
そう言いながら浴槽の縁を跨いだ。浴槽の幅は二人が向き合っても十分な幅だった。佳代は咄嗟に体を回転させ、背中を向けた。正座をするように脚を閉じ胸を両腕で隠した。お湯が縁から勢い良く溢れた。
(どうしよう。こんな事するなんて。出ないなら私が出れば、今なら後ろ姿だけ、後ろだけなら)
勢い良く立ち上がり浴槽を跨ぎ折れ戸を開けた。
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