社会人になってからは盆と正月は
帰省するようになった。
あのキス以降は普通の親子。
29歳のとき結婚したい女性いることを
母に話す。喜んでくれると思ったがそうでも
なかった。
「そうよね、テルはそんな歳になったんだね」
「喜んでくれると思ったよ」
「喜んでるよ、でも複雑かな?お母さんの中では
18で止まってるからね」
「10年以上も経ってるよ」
その彼女とは行き違いを生じ結婚はなくなった。
私にしてみれば、彼女から出た別れ話しだから
よかったのかもしれない。
母一人子一人を理解しているとおもっていた
私に非があったのだろう。母の話が多すぎたこと
で嫌気がさしたようだった。
これをきっかけに私の心は決まった。
30歳目前に帰省した私は、事の顛末を
話し東京で暮らすことを母に提案した。
母は考えた末、半年後に一緒に暮らすことに
同意してくれた。
「結婚資金の他にも預金が有るからマンション買おうよ」
「えぇ~、月々の支払いどうするの?」
「もとろん中古だけど、二人が暮らしやすいように
リフォームすればいいんじゃないかな?」
「それならお母さんも働くわよ」
「扶養の範囲内でよろしく」
「テルの扶養になるの!?」
母は涙ぐんでいた。
再び母との生活がスタートし『新婚』の言葉が
出るまでどのぐらい経ったのだろう。
一度だけだがキスもしているのに、こんなに時間がかかるとは。
母との転機は二度あった。
ホームセンターで手を繋ぐことはなかったが、寒い日に帰宅したときだった。
「寒いかったでしょ、ほら手出して。冷たいんだから」
そうやって手をさすってくれたこと。
それがきっかけになり、母の手を握るのに慣れていった。
出かけたときに手を繋ぐようにもなった。
二度目の転機は、間逆の季節でこのときも母がきっかけを
作ってくれた。
子供のころ祖父母に親父は酒癖の悪い男だったと聞いた
ことがあり、母の前で酒を飲むのを控えていたが、
母と手を繋ぐようにもなったし、同僚から土産に芋焼酎を
もらったことを言い訳にしビールを買って帰宅した。
「テルお酒のみたかったの?」
「今日は特別、お土産貰ったし暑いしね
「お母さんに遠慮しないで飲めばよかったのに」
「とにかく凄い汗だから先にシャワーしちゃいなさい」
脱衣場でパンツを足から抜くときははが入ってくる。
母はハダカの私を気に留めることもなかった。
「ワイシャツはクリーニング出すからそこに置いといて。
パンツは洗うからちょうだい」
私は母の語気に押され言うがままだった。
「あらヤダ、ごめんね。つい子供だと思ってて…テルはりっぱな
大人になったんだね」
「なんだよ急に」
「つい見とれちゃったよ、いい男になたね」
「そう??惚れちゃう???」
「でも可笑しいよ、だって小さくて可愛いかった
オチンチンが、しっかり皮が剥けてるんだもん」
「そりゃ30過ぎの男だもん当たり前でしょ」
「はいはい、早くはいっちゃいなさい」
「一緒に入る?新婚だしさ」
「バカ息子お酒の用意しとくね」
タイミングよく勃起してくれれば、どんな反応を
したんだろうと思った。
この転機でお風呂から食事に順序が変わり、着替えを手伝って
くれるようになり、そして一つベッドで寝るようになる。
それにはまだまだ一年の時間が必要だった。
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