母を車に乗せて、男性のマンションに向かいました。途中、母は出来る限りを話してくれました。
別れ話を切り出したのは母の方でした。最後は、一方的に家を飛び出したそうです。しばらくして、例のCDが投函されるようになります。
『ネットに実名で流す。』、その言葉に気の弱い母は怖じ気づいてしまいました。何度も男性の部屋に通い、チャンスを伺ったと言います。
口には出さなかったけど、その度に抱かれていたのでしょう。もう、訳がわからなくなっていたのだと思います。
母がチャイムを鳴らし、僕が飛び込みました。『お前か、こらぁ~!!』、生まれて初めて発した言葉だと思います。
『殺すぞ!お前。なめとったら殺すぞ!!』、ケンカ慣れしてない人間でも、頭に血がのぼったらこんな言葉でも吐けるのものでした。
自分の心臓がバクバクと音をたてているのが分かります。
男性は全てを悟ったと思います。特に返してくることもなく、10歳は若い僕に大人の対応をしました。
『出せ!!全部出せ!!』と言うと、男性は着いてこいとばかりに、部屋の奥に入っていきました。
男性の部屋の扉を、脅すように蹴りあげます。男性のは『なにをしてるんだ、この兄ちゃんは?』と、そんな顔をしていました。
男性の部屋に入ると、左に机とパソコン、右には映像に映っていたベッドが置いてあります。ここが、男性と母が営んでいた場所だと分かります。
『もう焼いてない。』、男性はそう言いました。『映像、どこや!パソコンの中か!』と詰めるよと、男性はパソコンの操作を始めました。
すぐにフォルダーが現れ、あの映像と同じファイル名がありました。『消せ!』と言うと、男性は削除の操作をしました。
『他、ないんか?』と聞くと、『ない。』と答えます。『あんた、ゆるさんからねぇ!!』、後ろから母の声が聞こえました。
この状況に、母も気が大きくなったんだと思います。
『代われ!』と僕がパソコンの操作を始めました。男性は隣に座り、僕の操作を見ていました。消されると困るデータもあるんだろうと思います。
ビックリする程のエロ動画がありました。こいつのコレクションなんだと思います。全て消し、怪しいデータも全て削除しました。
最後は男性は協力的になり、データの削除に付き合ってくれていました。たぶん、ビックリするほどに軽くなったと思います。
机の中のディスクも全部引っ張り出して、確認していました。3時間以上、やってましたから。
『なら、お金の話しよか?』、僕が言うと母は驚きましたが、表情は崩しませんでした。『こんだけ迷惑かけたんや、払ってもらうで。』と言いました。
『全部、警察とお前の会社に喋ってやるわ。』、これが決め手になりました。120万、彼が出来る精一杯の償いでした。
帰る車の中、母の表情が完全に変わっていました。悩まされてた分、解消された時のうれしさが隠しきれません。
母のディスクは全て処分されたと思います。まあ、念のために一枚くらいは取ってあるかも知れませんが。
もし処分したならば、あるのは僕のコレクションの一枚だけとなります。
その日から、母の僕を見る目が少し替わりました。頼もしい息子と見ているのでしょうか、もしかして男として見ているのでしょうか。
息子として見ているなら、残念です。僕は、このディスクを手に入れてから、映像の女性に夢中になっていますから。
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