それから僕たちは、どちらかの部屋のベッドで、度々交わるようになった。
最初は、週に2回だけ、と約束して、その日は僕が彩の部屋に行くようにしていたのだが、その頃から両親の仕事が忙しくなり、二人だけで過ごす夜が増えた事もあり、その約束はなかなか守れなかった。
約束の日以外でも、夕食の後、妹は何かと理由を付けては僕の部屋に来た。
用事が済んでもなかなか部屋に戻らない。
その内僕のベッドに寝転がり、ゴロゴロし始める。
僕が堪らなくなり、
「したいのか?」
と聞くと、必ず
「したくないよ。今日はまだでしょ?まったく、スケベなんだから…」
などと言いながら潤んだ眼で僕を見る。
僕が黙って妹のブラウスのボタンをはずし始める… 大概、このパターンだった。
この時期、僕は妹に恋していたのか?それは今でもよく分からない。
ただ、その頃は毎日家に帰るのが楽しみだった。
それだけは確かだ。
だが…
困ったことに、妹はJK1になっても、2になっても、彼氏を作らなかった。
僕と違って容姿は並以上、快活で社交的な妹。モテない訳はないのだが…
ある日、思い切って妹に聞いてみた。すると
「まあね~ コクられたこともあるけど… なんかみんな、童貞青春小僧なんだよね~」
と言った。
妹が言うには近寄ってくる男はみんな、女性経験がなく、妹のことも当然処女だと思っている。実の兄と爛れた関係を続ける自分では、とても相手にできない ということらしかった。
それを言われると、僕は何も言えなかった。
しかし、妹が3年になり、進路に悩んでいた時、僕は思い切って突き放した。
妹の進学先を県内にするか、東京で一人暮らしするか。
相談してきた妹に僕は、東京行きを勧めた。
「お兄ちゃんがそう言うなら、もうそれでいいかな…」
そう言った妹は、少し寂しそうに見えた。
都内の大学に進学して間もなく、妹は年上の彼氏を作った。
それを知った僕はもう、妹が帰省して来ても、手を出さなかった。
そして僕たちは、普通の、仲のいい兄妹になった…。
現在、妹は子持ちの主婦になり、実家である僕の家にちょいちょい帰ってくる。
でも、二人きりになる機会があっても、もうあの頃の事を話題にすることはない。
ただ、時々妹の方から、
「何で結婚しないの?」
と聞いてくることはある。僕が
「モテないからだよ。わかってんだろ?」
と返すと
「ヤッパリねぇ かわいそうなお兄ちゃん」
と、軽口を言うが、その時妹は、少し済まなそうな顔をする。
妹に済まないことをしていたのは、僕の方なのに…
40代独身非モテ男が性犯罪に走り勝ちなのは、単なる性的欲求不満の他に、女子との華やかな思い出が何もないまま終わってしまいそうな自分に対する焦りもあるのだと思う。
でも僕には少なくとも、彩とやりまくった4年間の思い出がある。
あの日々の鮮烈な記憶だけが、辛うじて、今の僕を支えているのだ。
※元投稿はこちら >>