アパートで暮らして数年
親の残してくれたお金や橋本沢田の2人から貰った金や伯父からの振り込みで生活は何の苦労もなかった。
2人とも仕事に就いて特に変わりない日々だったが、ある時橋本と沢田の名前がテレビで流れた。
13歳と12歳の姉弟を監禁暴行したとして捕まっていた。
姉はそのニュースを見るなり真剣な顔で俺を見て話し始めた。
『ユウト、引っ越ししよ。誰も知らないとこに行こ』
「え?どして?」
『もうこの街にいる意味ないから。誰も知らないとこに行って2人で行きてこ。』
「あ……うん。別にいいけど」
『どっか遠いとこ行ってさ、夫婦として暮らさない?』
「えっ??」
『私もうユウト以外の男の人と話も出来なくなってるの。ここに住みはじめてからだんだんそんな感じになって、今じゃもうすれ違うのも怖いんだ…』
「そーなんだ…。でも夫婦って?姉弟じゃなくて?」
『うん。ユウトと子供つくって家族つくるの。だから誰も知らないとこに行きたい』
姉は本気で言っていた。
この街じゃ知ってる人が多すぎるし伯母もまだ顔を出すため、誰も知らないところに行って自由に暮らしたいと。
伯父から受けた事のトラウマはなかったわけじゃなく、俺にも多少あった。
お互いの隠したい事をすべて知っているし、経験した事もわかっている人と暮らせるなら楽だし、何より姉とならと思いすぐに引っ越しする事にした。
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