みなみは光之とホテルのラウンジで待ち合わせた。3時の待ち合わせの15分前に着いたみなみはミルクティーをたのんだ。すぐに光之が現れた。
「早いね」光之は微笑みコーヒーを注文した
「なんだか緊張して早く来ちゃいました」みなみは微笑んだ。倍も年の離れた男性と話す機会はほとんどない。光之には不思議な魅力があると、みなみは感じていた
「あれ」光之が遠くを見るとみなみもつられて同じ方向を見た。その瞬間、光之ほ知人の製薬会社の会長からもらった開発中の即効性のある睡眠導入剤をみなみのミルクティーに入れた。会長いわく、飲み物の味を変えないのが売りだという。
「ごめん、人違いだった」おどける光之、だが、みなみはその方向に弟の姿を見つけた。しかも彼女らしい女の子と腕を組んで楽しそうに談笑していた。女の子はキュートなミニスカートをはいていた。
「どうかした」
「んん」みなみは首を左右に振りミルクティーを飲んだ。光之と向き合って座るそのはるか後ろを弟のノンが歩いていた。女の子はノンにまとわりついている。人目をはばからず、ノンへの愛情をストレートに表現しているようだ。二人はレストランのスウィツバイキングに入って行った
「誰か知ってる人でもいた?」
「いいえ、それより母の話を聞かせて下さい」
「ああ、いいよ、大学時代…」光之の声が遠くなっていくのをみなみは感じた。意識が遠くなる時、光之が肩を貸してくれて立ち上がった。そのあとは目覚めるまで何も覚えていなかった。
ノンは美優紀と談笑しながらホテルのラウンジに目をやると、男性の肩に担がれるようにして歩く女性を見つけた。誰あろう、姉のみなみだった。ノンは胸騒ぎを覚えた。
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