そして、一年前。僕が20歳、母が53歳の時。
初めて母に、男の影を感じました。家に帰れば母はいて、休日も普段通りの母。しかし、その綻びは息子である僕には感じとれてしまうのです。
そして、その人物が誰なのかもすぐに分かりました。近所に住んでいる『織田さん』というおじさん。
40歳を過ぎたと思いますが、若い頃はスポーツマンというイメージの方。僕の記憶に間違いがなければ、綺麗な奥さんと中学生の娘さんがいるはずです。
織田さんは、最近やたらと町内のことで我が家へと顔を出すようになってはいました。玄関で母と話し込む姿も、僕は見ています。
その日も、日曜日の朝早くだと言うのに、うちの玄関から織田さんの声が聞こえて来ました。母の笑い声も、この家に響きます。
すでに二人に不信感を持っていた僕は、部屋の扉を静かに開き、廊下へと出ました。そして、階段近くで身を潜め、玄関の二人の会話を盗み聞くのです。
聞こえてくる会話は町内の話とは掛け離れていて、所謂ただの世間話。織田さんのその語り口に、母の口からも独特な笑い声が出ます。
ただ二人のトーンは様々で、大きな声をあげたり、とても静かになったりと会話の全容までは僕には理解が出来ません。
そして、更に二人は静かになります。『居なくなったのか?』と思うほどです。しかし、織田さんからこんな声が聞こえて来ました。
『トモちゃん…、俺、好きや…。』
母の名は『智子』、みんなからは『トモちゃん』とよく呼ばれている。近所のおばさん連中も、みんな『トモちゃん』だ。
しかし、年下の男性が母をそう呼ぶことはあまりない。やはり、『智子さん』のはずだ。
僕は顔をずらし始め、薄目をしながら玄関をみました。
僕の母が、近所に住む40歳の若い男に抱かれていました。二人がキスをしたのかは分かりませんが、母の腕もしっかりと男の背中へと回されています。
衝撃でした。息子である僕には、あまりの光景です。妻子ある男と、母が不倫をしているのを知ったのですから。
10分後、母は僕の部屋へとやって来ます。織田さんは帰ったのでしょう。そんな母は、僕に『まだ寝る~?私、ちょっと出掛けるけど~。』と言って来ました。
『ああ、起きるわ~。』と言って、母と一緒に一階へと降ります。
母は、そのまま化粧部屋へと消えました。新築時はただの部屋でしたが、いつの頃からか、僕はその部屋を『母の化粧部屋』と呼んでいたのです。
大きめの化粧鏡が置いてあり、タンスの中には母の衣服が納められています。
現れた母は、おとなしめですが、ちゃんとおしゃれをしていました。それは、『町内の集りに行く。』と言われても疑えないほどの僅かなおしゃれ。
しかし、あの織田さんというおじさんと出掛け、きっと抱かれて帰ってくるのです。
『母でもオナニーをする。』、その程度の認識だった僕。しかし、その認識は『母もセックスをする。』に書き変えられました。
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