母が僕を産んだのは、33歳の時だった。もちろん、その時には父がいて、僕が小学校3年生の時まで3人で暮らしていました。
ところが、その父が急死。まだ子供だった僕は父の死を理解が出来ず、涙一つ見せなかったそうだ。
そして、僕が高校卒業をすると、我が家の改築工事が始まることとなる。父の死で、多額の保険金がおりていたのです。
もちろん世間体を気にした母は、すぐに行動することはなく、10年経ってから、ほとぼりが冷めてから家の新築工事に踏み切ったのです。
それは母のためではなく、数年後にはお嫁さんを貰ってくるであろう、僕のためにでした。
改築工事が始まるにあたり、僕と母は長屋へと引っ越しをします。数ヶ月の間ですが、狭い長屋で生活を始めたのです。
しかし、そこは本当に狭く、住んでいた家ほどのスペースはとてもありません。ふすま一つ隔てた部屋に、なんとか二人別々の空間の確保は出来ました。
その初日のことです。
勝手が違うこの家。今まで出せていた物音さえ気にしなければならない程、窮屈な空間です。母の部屋からは物音や咳払い、全部が聞こえて来るのです。
気にした僕は息を殺してもしまい、寝るのにも苦労をしていました。そんな中、母の部屋から蛍光灯のヒモが引かれる音がし、布団の中へと入る気配までを感じます。
自由のない空間で寝ることだけを考え、手で目を塞ぎ、無心を心掛けます。
ところが数分後。母が何度も寝返りをうっているのが分かりました。『眠れないのかなぁ~?』と同じ新境の僕はそう思いました。
しばらくすると、母が静かになります。ようやく眠ったのだと、そう思っていました。しかし、違ったようです。
布団の擦れる音、寝息、いろんな音が聞こえて来ます。それは一時的なものだと、まだその時は思っていたのです。
しかし、その僅かな物音の繰り返しは終わりません。こんな僕でさえ、『ん?』と不自然さに気がつきます。
そして、『ハァ~…。』と小さな吐息が聞こえました。その声で、初めて僕の頭の中に『オナニー』という言葉が浮かびました。
もちろん、まだまだ確信などありません。それでも、僕の頭の中には、隣の部屋でパジャマ姿で寝ている母の悩ましい姿が映像化をされ始めました。
『フゥ~…、』『ハァ~…、』、僕に聞こえないようにしているのか、それはとても小さな吐息でした。しかし、繰り返されています。
僕の身体は一切動くことはなく、それでも目だけはしっかりと見開かれていました。もう、隣の部屋での母のオナニーを確信していたのです。
最後に、『フゥ~…。』と長い吐息があり、それを最後に隣の部屋は静かになりました。初めて聞いた、女性のオナニーボイス。
それが自分の母親のものなのですから、興奮よりも驚き、とても複雑な感情でした。
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