→週末…いいわよ
「……え?」
→忘れたの?この前の話
「あー……全然返事なかったんでダメだと思ってました」
→私にもいろいろ準備があるのよ。気持ちの問題もあれば他にもいろいろ……
「そーなんですかー」
→で、土曜日ならいいわよ
「…学校休みですよ?」
→学校じゃないわよ。さすがに学校で2人きりはマズイもの。
「じゃあどこで?」
→午後1時くらいに西駅に来れる?迎えに行くから
「はい、大丈夫です」
→じゃそーゆー事でね
西駅は最寄り駅から5駅離れた場所にある。先生の家はけっこう遠い事がわかった。
あと3日。ここで変体したらなんか悔しいなとドキドキしながら、先生との事は妹にも親にも話さずに過ごした。
土曜日の朝は普段より早起きしてしまい、リビングに入るとみんなに驚かれた。
休みの日に早起きなんて…何かあるの?と母や妹に聞かれたが、朝立ちを利用して妹とやりたくて…と、ソファで妹とやって誤魔化した。
昼まで家族に悟られないように自分の部屋で過ごし、遊び行ってくると言って自転車で駅を目指した。
電車に乗って西駅まで20分、あまり降りた事がない駅で改札を抜けるとロータリーにはタクシーが1台いるだけだった。
言われた時間より少し早かったので、ロータリーの端にあるガードレールに座って待っていた。
午後1時を少し過ぎた頃、先生が運転する赤い車がオレの前で止まった。
窓越しに手招きされて近づくと、後部座席に座るように指差す。
→ゴメンね、遅れちゃった
「大丈夫でーす。」
普段はアップしている髪は下ろされ、赤ブチのメガネをしている先生はいつもと別人に見えた。
「髪縛ってないんですね?メガネも。」
→休みの日はそのままよ。コンタクトもしないからメガネしてるの
「へぇー。先生この辺に住んでるんですか?」
→違うわよ~、あなたと会うのに地元じゃマズイからこっちまで呼んだの
「え?じゃ家は…」
→学校から10分くらいの所。だからまた今から戻らなきゃ。ゴメンね、わざわざこっちまで来させちゃって
ハンドルにしがみつくように運転するのは女の人の特徴なのか、母と同じ姿勢で運転するなぁと思いながら、余分な物が何も乗っていない車に揺られて地元に戻る。見馴れた景色に変わっていき学校を通り過ぎた。
学校から10分もかからずに地元で1番デカいマンションの敷地に入っていった。
「先生んちこのマンション?」
→そ。老後まで住むつもりで買っちゃったわよ。一生独身のつもりだしね
「ふーん。」
→興味ないわよねそんな話
マンション1階の駐車場に車を停めると、先生は少し周りを気にしながら降りるタイミングを図っていた。
→よし…降りよっか。右奥がエレベーターだから
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