日曜の朝の図書館は人も疎らで静まり返っていて、職員のキーボードを打つ音だけが響いている。
『なんか…静かすぎるね』
「だな。…オレDVDでも見てるわ」
『私も。一緒に見よ?』
適当に選んだDVDを見ていると徐々に人が増え、見終わる頃にはたくさんの人が図書館に集まっていた。
子供向けの折り紙教室のイベントがあるらしく小さな子供とその親で、イベントスペースが埋まっていた。
『なんか…混んできたね?』
「んー。オレちょっとトイレ」
『あ、私も。』
「どーする?もー家戻ってみる?」
『だね。お腹すいたし…母さんも落ち着いたんじゃないかな』
「オッケー、じゃDVD返しとくわ」
トイレから出てカウンター横で待っていると、早足で妹が近づきながら1人の女の人を小さく指差した。
『あの人、たぶん仲間…』
「ん?」
『匂い。さっきトイレの入口ですれ違った時、すっごくいい匂いした!』
「え?マジで?」
妹が指差した人を見ると、向こうもこちらを見て目が合った。
その女の人はニコッと微笑むと手の平をこちらに向け、クルっと捻ると同時に首を傾げる。
意味がわからず妹と顔を見合わせていると、その人がゆっくりと近づいてきた。
→こんにちは。
「あ、こんにちは…」
『こんにちは…』
→フフッ…いきなりごめんなさいね。お嬢さんもしかして、変わる人かな?
『え…あ…あの……』
→匂いでわかるわよね?私とすれ違った時気づいたでしょ?
『え…と……はい…』
→大丈夫、何かしようってわけじゃないから。……あら?君もそうなのかな?
「え?あ、はい…」
→もしかして兄妹なの?
「双子です。」
→あら!そうなの!?双子の変わる人なんて初めて会ったわ!へぇ~…なんかいいわね~
その人は小さな子供と手を繋ぎながら話を続けた。と言っても、一方的に質問してきてこちらは淡々と答えていくだけだったが。
手の平を捻る仕草は変体する人の確認の挨拶だと教えてくれた。
その人は図書館を挟んでオレ達とは反対の方角に住んでいるらしく、よく図書館を利用するからまた会うかもね、と言うとイベントスペースに戻って行った。
家に戻ると、裸の2人がソファで向かい合って繋がったままでいた。
《おかえり~!ごめんね、追い出しちゃって》
「あーうん。まぁいいよ」
『母さんも変体したんだね~!』
《うん、夜中目が覚めたら変わっててね…お父さん襲っちゃった!》
「なんでベッドでしてないの?」
《え……ベッド…びちゃびちゃになっちゃったから…エヘヘ》
『ここもすごいけどね~』
《だって……初日だし…》
「まだまだ続けるの?父さんぐったりしてるみたいだけど」
《今日お休みだし、ね。それとも明日香が相手してくれる?》
『え…ムリムリ。そんなに大きなのでやられたら死んじゃう』
《エヘヘ…だから…いいかな?…今日ずっとお父さんとしてても……?》
「んーまぁ…」
『オッケー!私ら気にせずしてていいよ!ご飯適当に食べてまたどっか出かけるから~』
《ありがと!》
虚ろな目をした父を下から突き上げ、何回目かわからない射精をした母を横目にキッチンへ。
冷蔵庫やインスタントのストックのある棚を漁るものの、これといった物がなかったので外に食べに行くことにした。
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