手や足を小刻みに震わせて父は気を失った。
甘い匂いを漂わせた父を荒い呼吸のまま眺めていると、後ろで母と妹の声が。
《すごいわね……》
『晴人やば……』
「ハアッハアッハアッハアッ……み…てたの?ハアッハアッ…」
《けっこー前に覗きにきたけど、気づかないんだもん》
『ねぇ。そんなに気持ちよかったの?』
「ハアッハアッ……すげぇよ…ハアッハアッ…匂い、やべぇ」
《とりあえずご飯できてるけど、食べる?》
「ハァハァ…うん、父さんは?」
《そのままでいいわよ~。まだ身体痺れてるだろ~し動けないと思うから》
ハードすぎる朝運動を済ませて学校へ行ったが、前日も妹と深夜までしていて寝不足だったせいで、午後は保健室でサボることにした。
養護の先生もなにかと贔屓してくれていたので、放課後まで寝ててOKと言ってくれた。
固いシーツでも横になれたら十分で、午後の授業が終わる少し前までぐっすり眠ってしまった。
目が覚めてぼーっとしていると、カーテン越しに鼻歌が聴こえる。そっとカーテンを開けると、先生が掲示物を作っていた。
→あら、起きたの?ぐっすり眠れたみたいね?
「あ、はい。よく寝ました」
→部活は?やってくの?
「んー……帰ります。…たぶん今日も…ちょっと…」
→お父様が変わっているのかしら?
「えっ?………」
→うふふ、大丈夫。今までお世話してきた子達もみんなそうだったから、知ってるしわかってるから大丈夫よ。
「あ……はぃ。」
養護の先生はそんな事まで知っているのか…と、少し驚いた。
→晴人君は明日香さんがいるからまだよかったのかもね!前の学校の子は事情を知る人が私しかいなくて少し可哀想だったわ。
「はぁ……」
→まぁど~でもいいわね!
「……その子は、男?女?」
→ん?女の子。変体した時はそ~やって保健室のベッドにもぐり込んでたわ。
「へぇ…。……ん?相手は?」
→いないわよ~。自分で……ね!
「へぇ。なんか可哀想。」
→まぁしょうがないわよね。さ、支度して帰ろうか
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