叔母が家に来たのは木曜日だった。
火曜日までは緊張しながら鍵を開けたが、水曜にようやく諦められたところの俺にとっては完全な不意打ちだった。
「えぁっ!」
自分の出した声に情けなくなった。
恥ずかしくて叔母を見ることができなかった。
リビングのダイニングテーブルの椅子に座り、俺から視線を逸らしてタバコをふかす叔母は、いつもよりも化粧をして、いつもよりもいやらしく感じるスーツを着ていた。
俺は「ただいま」も言えずに叔母の横を小走りで抜け、自分の部屋に入った。
期待していたくせに、いて欲しいと何日も思ったのに、嬉しいのに、けど恥ずかしくて、方法もわからなくて、自己嫌悪の塊になってベッドに横たわった。
枕を掴んで顔を覆い、自分でも理由のわからない涙を抑え込もうとしていた。
涙が止まるよりも先に、ドアがノックされた。
俺は何も言わずに、何もしなかった。
またノックが鳴る。
俺は何もしない。
またノックが鳴り、今度はそのままドアが開く音がした。
扉が閉まる音が聞こえて、足音が近づいてきた。
叔母が俺のベッドの横に立つのを感じる。
何も言えずに、何もできずにいると、叔母が座る気配を感じた。
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