夜中まで愛しあった
姉さんは疲れ果てて寝てしまった
姉さんの髪に触れて
ため息が一つ漏れた
安堵して出たため息
姉さんの頬を撫でてまた漏れた
あっと言う間に
思い出してしまった
僕が僕に戻れて良かった
パジャマを着て
姉さんを起こさないようにそっと寝室を出た
ベランダに腰掛けて外の空気を吸う
記憶が戻らなかった状態の時も
姉さんを好きになってた
それを思い出して苦笑してしまう
もう根っからのシスコン弟だなぁ……
ぼーっと空を見上げる
星も何も見えないけど
何か見えそうな気がして、ずっと見てる
ふと、甘い香りがして
振り返ると姉さんがマグカップを二つ持って立っていた
微笑んで僕に一つ差し出した
「急に消えるの禁止!」
「ごめん、姉さん」
「んふ、分かればよし」
姉さんと並んで寄り添う
二人とも黙ったまま、ただ寄り添う
僕たち、この先もこうしていられるように努力しなきゃ
この事故みたいに
記憶が飛んでしまうなんて予想もしなかった
先の事はわからない
考えてもどうしようもない
だから
今この時間、特別な言葉をたくさん言い合おう
いつか人は死ぬんだ
姉さんの手に触れた
自然と見つめ合う
「姉さん、大好き」
「うー、照れるっ」
「……ごめんね、ただいま」
「うん……」
さっき、愛しあってる最中、何回も言った
ただいまって言葉
今まで生きてきた中で一番心を込めて言った
とってもとっても重たい言葉
姉さんは何度も受け止めてくれた
嬉しかった
姉さんが抱き寄せてくれて
頭を撫でてくれた
もう子供じゃないのになぁ///まぁ、いっか
「明日から仕事復帰できるかな?」
「無理しない、お姉ちゃんと病院に行ってから、ね?」
「はい……///」
もう、こんな事起こってほしくない
姉さんにも、周りの人にも迷惑をかけた
「瑞希くん、ありがと」
「ん?」
「かばってくれたから」
「あぁ、とーぜんの事をしたまでです」
「頼りになる弟だぁあ///」
そんなこんなで朝になった
二人で病院に行った後、皆に電話で無事回復した事を伝えた
復活したぞ、僕
気合い入れて生きるぞ!僕っ!
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