しばらくは自宅療養……かな?
ご近所さんにはお姉さんが説明してくれたみたいだ
夕方カメラを持って出かける
赤く焼けた空
木の枝の隙間から漏れる光
そんなものを撮ってる
このカメラ、使い方が体に馴染んでるせいか
すぐに思い出せた
これは進歩だろうか
「瑞希くん」
「あ、お姉さん」
迎えにきてくれてたんだ
僕を見る彼女の表情はとても……嬉しそう
お姉ちゃんっていうかお母さんみたい
「カメラ楽しい?」
「うん、なんか色々撮っちゃった」
「ふふ、そーかそーか」
「あ、お姉さん、そこに立って」
「ん?はいはいー」
お姉さんをモデルにして
写真を撮った
そうしているうちにもう薄暗くなってしまった
最後の一枚
シャッターを押す
その瞬間頭がピリッとした
何かを思い出せそうになった……気がした
お姉さんは首をかしげてる
「どした?」
「お姉さん……僕さ」
「ん?」
「僕、お姉さんと大事な約束したんじゃなかったっけ?」
お姉さんは静かにうなづいた
微かに涙を流しながら
「何かな……思い出せそうだったのに」
「いい、焦らないで。ゆっくり……ゆっくりでいいから」
抱きしめられた
落ち着く、すごく
落ち着く……
帰宅してからパソコンに写真を転送している間に夕飯を作った
作ったと言っても簡単なもの
昔の僕は料理上手だったそうだけど
「瑞希くん……」
「ん?」
抱きしめられた……
お姉さんは抱きしめるの好きだなぁ
「瑞希くん、好きよ」
「え?///」
「ふふっ、かわいい」
正直、この人が好きって感覚
すごく自然に湧いてきた
いや、元からあった
何も覚えていない時に彼女が目に入った瞬間に
落ち着いたというか
なぜか安心した
きっと仲のいい姉弟だったんだろう
だから
今この僕の心にある気持ちは吐き出してはいけない
彼女が好き、異性としても
姉弟の関係が崩れてしまうのは良くないから
ダメだから……
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