あまりにも あっけらかんと聞いてきたので私も普通の会話のように答えてしまった。
「あぁ…まあな…」
言ってしまってから恥ずかしくなりコーヒーをガブガブと飲みハンカチで、額を拭っていた。
好美はケーキを食べ終わり、あたふたしている私をイチゴに付いた生クリームを舌で舐めとりながら見ている。
正面から見られると、なんだか居心地が悪いので早く車に戻ろう そう思っているのに、イチゴを一口で食べ終えた好美は更に聞いてくる。
「してないの?」
意味は解ったが一応 聞いてみた。
「な、何をだ?」
「バンビちゃんとしてないの?」
好美は妻の事を バンビちゃん と呼ぶ。
私と妻が まだ恋人同士の頃、私は妻に バンビ とあだ名をつけ そう呼んでいた。
結婚してからは、呼ばなくなり忘れていたのに、突然 好美が妻を バンビちゃんと呼び出し、妻と顔を合わせて驚いたものだ。
実に察しがいい娘だ。
「ねぇ、バンビちゃんとしてないの?」
いつになく真剣な眼差しで聞いてくる。
「あ~ま~、敬…お母さんも色々忙しくて大変なんだろ…」
「アハハハハハ、パパ可哀想だね!アハハハハハ」
紅茶を ズズズー と飲み ニコニコ と外を見出した。
私は もう一度ハンカチで額を拭ってから
「さぁ帰るか」
と照れ隠しに足早にレジへと急いだ。
車に戻ると好美はダッシュボードに置いてある ぬいぐるみを手に取り 語りかけた。
「パパ、可哀想だね」
すぐに私の方を向き
「アハハハハハ 風俗にも行けなかったしね!」
と アハハハハハ と笑ったり クスクス と笑い続けていた。
しばらく走り インターの近くに来た時に 不意に好美が私に言ってきた。
「私が…してあげるよ」
「何をだ?」
私はその時、思いもしなかったので本当に解らずに聞き返した。
「パパ…溜まってるんでしょ?…だから…私がしてあげる」
「バ…バカな事を、何をバカな事言ってるんだ? 」
思わずブレーキを踏みかける程に驚いた。
「だって、可哀想だもん」
すでに私は理性を失っていたのかも知れない。娘の胸に肘を当てた時から…
何かを期待していたのだろう。バカ!で済ませば良かったのに
「するってどこでするって言うんだ?」
と聞いてしまっていた。
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