ソファーにバッグを置き、冷蔵庫からペットボトルを1本取りだす母。
キャップを開けて渡してくれる。
いつもの母。
俺が何口か飲んだ後に
「ちょうだい」
と言って飲む。
少し目を閉じ 喉が動く。
あぁ美味しい とニッコリする母。
いつもの母。
あー暑い と上着を脱ぐ
ノースリーブのシャツから汗ばんだまぶしい肌が映えている。
いつもの母。
俺をずっと見守り、育ててきてくれた母
優しく、厳しく、いつも傍にいてくれた母
俺を産んだ母
産み落とした母
いつもの母が、そこにいる。
いつもの顔で、いつもの笑顔で、いつもの声で、いつもの調子で、いつもの態度で、いつもの腕、いつもの足、いつもの髪、いつもの目で、いつもの母で
そこにいる
知らない 部屋
ホテルの部屋 に…
男と女が欲望を満たす為だけに用意された部屋。広い空間に目立つ大きなベッド。不必要に設備された照明が まるでスポットライトで照らすように向けられている。男と女が ただ快楽の為だけに求めあう
そんな部屋に母がいる
俺と母がいる。
シャワーを浴びガウンだけを羽織った母
白い内モモが見えている
膝から奥へ、どこまでも奥へと見えている
ガウンの胸元には 谷間が見えている
緩く滑らかな膨らみが、先へと続く曲線が 妖しく見えている
髪をかき揚げる腕が見えている
ペットボトルを掴む指が見えている
火照ったうなじが見えている
紅く染まった耳が
潤んだ瞳が
震える声が 鼓動が 息づかいが
見えている
唇を舐める舌先が 濡れた唇が
その唇が動き 囁いた。
貴史……
いいよ……
ここなら……
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