いつもの夕飯の時間を過ぎて、階段を降りて行くと、姉が賑やかに料理をしていた。
居間では父がT・Vを見ている。
母との事もあり、なんとなくキッチンのテーブルに座る。
お玉を握った姉のアナウンスが流れた。
「只今、大変込み合っております。もうしばらくお待ち下さい。アハハハハ~」
しばらく 「あ~」 「おおぅ」 「えー」 「アハハハハ」と騒々しく格闘したのち、ようやく料理が出来た。
「料理をお待ちの、孝之様~、貴史様~、好美様~、1番テーブルへお越しください、アハハハハ」
父と俺と姉自信の名を呼び
「あ~美味しそう!いっただきま~す!」
と一番に食べ始める。
食事中、ずっと姉が一人で話し、一人で笑う。
おかずを口に運んでは話し、ご飯を食べては笑う。
「アハハハハ」
と声をあげて。
姉のおかげで場が明るくなる。
母がいれば、更に場を和ましてくれる。
天真爛漫な明るさで場を和ましてくれる。
姉は、どちらかというと あっけらかんとした、がさつなほどの明るさがある。
時計を見て、ふと母さん遅いなと思った時に姉が心を見透かしたように
「バンビちゃん遅いね」
とモグモグしながら言った。
姉は母の事を バンビちゃん と呼んでいる。
とても察しがいい姉である。
姉は一人で喋ってた割には一番に食べ終わり
「あー!美味しかったー!ごちそうさまー!」
手を広げ天を仰いでから、お腹を叩いた。
食事が終わり、父の後に風呂に入ってると、姉の笑い声が、ひっきりなしに聞こえてくるようになり、空気に和みが感じられた。
母が帰ってきたようだ。
風呂から上がり部屋へ戻る時に、母がニッコリ笑って
「ただいまっ」
といったので俺は小さな声で
「おかえり」
と返し階段を上っていった。
ベッドで横になっていると、風呂からあがった母がノックをして部屋に入ってきた。俺と目が合うと ニッコリ笑って、もう一度
「ただいま」
と言い、戸惑いながら両手で隠したものを布団の中に入れ
「汚してもいいけど…あんまり… ないでね…」
と恥ずかしそうに出ていった。
布団の中で触れたものからは、とても温かく生々しいまでの感触が伝わってきた。
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