翌日
なかなか眠れなくて姉さんと抱き合ったまま
姉さんも同じらしい
ずっと僕の頭を撫でたまま
「姉さん」
「ん?」
「結婚式は嬉しい、したい」
「うん、私も」
「・・・・・」
「・・・・・」
子供・・・
まさか父親である桂さんが認めてくれるとは思わなかった
二人ともほしい気持ちは確認済み
背中を押される感覚
それが良いのか悪いのか分からない気持ち
「改めて、話し合おうか」
姉さんが起き上がって僕の手を握る
長い髪が太陽の光に当たって絹のようだ
優しくて、強くて、美しくて、僕の事を愛してくれる女神のような人
他人だったら・・・迷わずに
でも姉弟だから・・・
姉さんは僕の手に指をからめながらうつむく
恥ずかしそうにもじもじしてる
「たまに・・・ね」
「うん・・」
「ピル飲む前にね、手が止まるの」
「・・・・」
「飲むの、止めたらできちゃう・・・それでいい、それがいいって思う」
「・・・・」
「こんなに好きな人の子供なら、仕事も地位も捨てていいって・・どうにでもなる、どうにかするって」
姉さんの手を握り返す
「僕もさ」
「うん・・」
「姉さんの中に出す時、すごく思う・・・このまま、受精しちゃえって・・・好きな人の子供、欲しいって」
「・・・・」
「・・・・」
手を握ったまま
黙る二人
二人の気持ちは同じ・・・
「でもね・・」
「ん?」
「子供ができればきっと今の幸せは変わる」
「・・・・・」
姉さんが僕を頭を胸に抱え込む
「子供が生まれたとしても君が一番好きなのは変わらない、きっと君に執着する」
「・・・うん」
「冷静に考えたら仕事も大事、私の人生の一部だもん。きっと無くしたら辛い、私も変わる」
「・・・うん」
「今の生活、もうこれ以上足したら今の幸せが壊れちゃう」
「僕もさ、思う」
「うん」
「きっとね、山に行くか、海に行くかくらい生活が変わると思う」
「ん?、、」
「いや、、例えだけどね。山に行けば松茸が食べられるけど熊が出る。海に行けば鯛が捕れるけど鮫に襲われる。・・けど山に鮫は出ない。海に熊も出ない」
「べりぃ、、難解ぃ、、」
「ごめん、、つまりさ、幸せの反対の苦労の質も違うんじゃないかなぁって」
「・・・・」
「子供ができたら子供中心の生活になる。それに子供の戸籍とかどうするか悩む・・・」
「うん・・」
「僕は欲しい気持ちはある。でも今の生活が一番いい」
「ん、、」
「これからもこのままがいい」
二人で決めた答えは変わらないみたいだ
※元投稿はこちら >>