眼というのは正直だ
人間の想いを偽りなく写す
俺は眼を見ていた
寄ってくる奴等の眼を
両親が失踪したのはいつか知らないが
俺を養子にもらい育てようとする奴等もいた
俺は眼を見た
金だった
金しか写っていなかった
莫大な金、養育費、色々な物を期待して寄ってきていた
俺は拒絶して拒絶して、両親が手をつけなかった金を使い世界を転々としながら暮らしていた
遊ぶ金などいくらでもある
14歳だけど
寂しい夜なんてなかった
なかった
俺は特別な人間だ
他の誰よりも価値がある
若いうちにたくさん遊び、大人になったら必ず、世界をあっと驚かす事をしてやるって思ってた
それが夢
必ず叶う、叶えてやる
・・・・・
転校生か
こんな混血美少年が転校生なら女子たちはきゃーきゃー言うだろう
予想は・・・当たった!
「ファーストネームとかミドルネームは省きます。葛城隼斗です、よろしくね」
クラスがざわつく
女の子たち、食い尽くしてやるっ
ふと、教室の隅の窓のほうの席に視線が行った瞬間
俺は眼が離せなくなった
その子は俺を見ず窓の外を見ている
彼女・・・いや?彼?
セーラー服を着ているから彼女か?
女の子にしては短めの髪
すこし髪型を乱しているがすごく似合っている
一つ一つの顔のパーツ、スタイル何もかもが一級品
しかもバランスも文句なし
俺が今まで見た中で・・・
短い人生だけど・・・今までで一番美しいと思える彼女
ちょっと近寄りがたいくらい綺麗
異様なくらい完璧
世界のモデルとも遊んだ事があるけど
なんだろう
彼女は・・・
引き寄せられる
窓の外を見る瞳
宝石のようだ
この俺が一目惚れなんかするはずがない・・・
だが・・・眼が離せない
「葛城さん。有村さんの隣の席空いてるからそこに座ってね」
「いぇーす♪」
わざと片言な日本語で笑いをとる
余裕はある
けど俺の瞳は彼女に奪われたまま
隣の席に座ってようやく俺に気づいたようだ
「あ、どーも」
「有村さん?よろしくね」
「あ、うん、よろしく・・・」
ちょっと冷たい感じだな
クールに決めやがって・・・
いや・・・しかし
くそナルシストの俺が
いや・・くそじゃないか、ナルシストでもないか
俺が俺より綺麗と思える人に出会えるなんて
彼女、若干影がある感じだ
なんだよ
おもしれぇじゃねえか、日本って
ドキドキしてきたぞ!
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