撮影を見学させてもらう
もうだいぶ顔馴染みになった
都内の撮影スタジオにはほとんど行ったし業界内の集まりにも参加したからなぁ・・・
「胡桃ちゃんセクシーすぎるっ♪ほいほいっ♪次はニッコリ笑ってみ!・・・そうそう!かわいいねぇ!天使だよ!」
胡桃ちゃん綺麗だなぁ
姉さんがカメラを構えれば相手は意のままになる
あの不機嫌な胡桃ちゃんでさえ
ニッコリ子供のように笑う
姉さんの実力なのだろう
世界中のモデルさんたちを撮影してきたからだ
「うし、いいね。次の子どうぞー」
胡桃ちゃんが僕の近くの椅子に座った
「瑞希」
ちょいちょい指で招くようにする
来いって事?
「なに?」
「ジュース買ってきて」
「うん、分かった」
「・・・・」
胡桃ちゃんは首をかしげる
なんだろ?僕の顔になんかついてる?
「瑞希はどうしてそんなにわがまま聞いてくれるの?」
「ん?どうしてって・・・僕はできる事をするだけだよ」
「怪我してるから断るかと思った・・・」
「あは、僕を試したの?」
「ん、、・・・一緒に買いに行こ」
「うん、行こ♪」
「・・・、、」
自販機は廊下にある
小銭を入れてボタンを押す
胡桃ちゃんは財布なんて持たないから僕のおごり
自販機でカードは使えないもんな
胡桃ちゃんが桃ジュースを一口飲んだ
「瑞希は他の男となんか違う」
「へ?」
「自分勝手じゃないし、気が利くし一緒にいて心地いい」
「・・・・えーっと・・・」
「ん?」
胡桃ちゃんがかがんで僕の視線の高さまで姿勢を落とした
「人が三人集まれば社会ができる。人としての格差も出る、争い事もおきる。そうならないためには"輪"を回す事を一番に考えるんだ」
「わぁ?」
「そう、人にはそれぞれ得意不得意がある、役割があるでしょ?たとえば家庭という"輪"を回すなら、父親は仕事、母親は家事、そうして二人が役割を担ってはじめて家庭という"輪"が回る、だからその中心にいる子供は安心して成長ができる、目標に向かって家庭が円滑にまわせる・・・でももし母親が役割を放棄して家事をしなかったら?父親が不倫をしたら?輪がまわらなくなる」
「・・・・・」
「今は皆で撮影の仕事をしてる、僕が胡桃ちゃんのジュースを買ってくれば胡桃ちゃんは不機嫌にならないから仕事もスムーズに進むでしょ?」
「別に、、不機嫌にはならない、、」
「はは、、グイグイ引っ張っていくのは苦手だから細かい所は任せて♪」
「・・うんっ、、」
胡桃ちゃんが笑った、、
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