幼い頃の記憶がないわけでないけど
一日に何百という人と会ってたし
・・・・・言いすぎだけど
顔なんていちいち覚えてられないっつーの
だから中津さんの事も覚えてなかった
日本のミドルスクールにねじ込まれる事になった
中学生ってやつになるのか?知らんけど
冬休みになったら妹を迎えに行けと言われた
双子の妹か
僕に似て美形か、はたまた雑種の群れに揉まれて見るに耐えない姿か
「こちらです」
「なにここ?」
「新しい住まいです」
マンションか・・・せまっ
いや、まぁまぁ広いけど
シャンデリアもないしピアノもないし
骨董品の棚もない
つまんないつまんない
「私も同居し、お世話させていただきます」
「お!執事と王子の恋の始まりっ?」
「おじ様から言われましたが場合によっては暴力も許可されておりますのでやんちゃもほどほどにお願いします」
「お・・・おうけい」
しなないようにせいかつしよう・・・・うん
「お疲れでしょうし先にシャワーをどうぞ。私は夕飯の準備をいたします」
中津さんがエプロンを着て包丁を研ぎだした
やべ、、、ムラムラする
「一緒に入りますか?気持ちよくしてあげますよ?」
すこーん・・・・
俺の横を・・・何か鋭い物が
ものすごい勢いで
後ろの壁にフルーツナイフが刺さってる
え?・・・
「すみません、手がすべってしまいました、、、」
「わざとらしい照れ笑いしなくていいです」
「失礼いたしました」
こ・・・・ころすきだ!
この人、俺を好きだから執事になったんじゃない
ころすきで執事に!
ま・・・いいや
シャワー浴びよう
はぁ・・・ため息しか出ない
たしかに俺はドスケベかもしれない
幼児の頃から胸さわったりした・・・かもしれない
けどさ、問題児なんてひどいよな
曇りガラスの向こうに人影、中津だ
「ぼっちゃま、着替えを置いておきます」
「あ、サンキュっす」
「・・・・貴方の事はよく覚えてます」
「へ?」
「昔の貴方はいつも微笑んで愛想を振り撒いてとてもかわいい子でした」
「あ・・・あぁ、昔からスターの品格が・・」
「でも影では人形を抱き締めて一人で暗がりで泣いていた」
「・・・・・」
「貴方は私が守ります。妹様に会えたら仲良くなれるといいですね」
「中津さん・・・」
「はい?」
「やっぱ俺の事好きでしょ?」
「夕飯はできております」
あ!浴室の電気消してきやがった!
・・・俺は寂しくなんかないやい・・
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