雪が降る
積もっていく
もう外には出られない
彩花の部屋で雑談してる
真理亜が来てくれるかもって思ったけど
来ない・・・・
彩花は窓の外を見ている
カメラをかまえて一枚パシャリと写真をとった
「真理亜ちゃんとうまくいってないんだね」
「ぎくっ!?」
「ははー♪図星だね?」
彩花もエスパーか
ならば夜這いも無理か・・・
「真理亜ちゃんね、いい子だよ、すっごくすっごく」
「俺はどうしたらいいんだ・・・」
「あのね、葛城くん」
彩花が振り返る
やはり異様なくらい綺麗だ
我がものにしたいが
今は妹をなんとかしたい思いでいっぱいた
襲う気も起きない
「葛城くんから積極的に近寄るの」
「俺から?」
「葛城くんにできる事、思い付く事、してあげなよ」
「・・・・俺にできる事」
「今からでも行ってきなよ、私より真理亜ちゃんと話してあげなよ」
彩花が微笑む
彼女の笑顔は世界一美しい
俺にできる事か・・・
とりあえず、やってみるか
彩花の部屋を出た
真理亜を探す
どこにいるんだろうか
ふと、廊下の窓の外を見た
吹雪の中
真理亜が歩いている
白い着物を着て何か長い棒を持って・・・いや・・・
あれは日本刀?
森の方へと向かうようだ
なにする気だ・・・
「ぼっちゃま?」
「中津、暖炉に火をつけといて」
「はい・・・」
「真理亜が外にいる」
「!?・・すぐに連れ戻します。私が」
「いや!」
「・・・」
「俺が・・・行く」
中津が少し微笑んだ
「かしこまりました。防寒コートをお持ちします。」
「俺になにかあっても貴方に責任は取らせないから」
「いえ、取ります。執事ですから」
「・・・・・すみません」
渡された防寒コートを着て
外に出た
突き刺さるような寒さ
息が白くくもる
真理亜の足跡が森のほうに続いている
真理亜・・・真理亜・・・
お前を溶かしてやる
俺がお前を
優しくだきしめてやる
まだ・・・どうしたらいいかよくわからないけど
抱き締めるくらいならできる
何回だってしてやる
吹雪で息をするのも苦しい
彼女を追う
雪の中
森の小道を歩いて
足跡が消えないうちに
追う
しばらく歩くと墓地があった
彼女がいた
墓標の前に
簡素な墓
誰の墓だろう
「真理亜・・・」
「・・・・・」
「真理亜!」
「・・・・・・」
彼女は刀を抜いた
切っ先は俺へ向けられた
吹雪が止み月が顔を出し
月光で光る刃がまぶしく見えた
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