もうすぐ冬休みが終わる
妹を説得せねばこの牢獄に閉じ込められる
そんなのゴメンだね
あのバケモノと一緒にいろなんて・・・
だが、彩花と一緒に帰りたい
嘘をついてでも優しく説得せねば
真理亜を探す
どこに行ったのだろうか
もしかしたら・・・・
あの部屋にいるかも
記憶を頼りに部屋を探した
屋敷が広すぎる
そこらへんのリゾートホテルぐらいある
なんとか探しあてた
ドアを開けるとあの夜みたいに・・・隠し扉が開いていた
背筋が寒くなる
妹なんかいらない・・・いらない・・・
奥に行くと
あの水槽があった
今は空っぽだ
何も入っていない
複雑そうな機械がたくさん
ほんとにゾンビのゲームみたいだ
さらに奥の部屋に
いた
バケモノが・・・
「真理亜・・」
「・・・・・」
「あのさ、」
「寒くないか?・・・って?寒くないですよ」
背筋がゾクゾクっとした
ただただ恐怖に凍りつく
なんで・・・言おうとした事を・・・
真理亜が振り返る
一瞬碧い眼が怪しく光ったような気がした
「私が怖い?」
真理亜が微笑む
哀しみに満ち溢れた眼・・・瞳には俺しか映っていない
嘘はダメだ
通用しない
「怖い、すごく怖い」
「そう・・・」
真理亜が動物の・・・・魂の脱け殻に近づく
愛しそうな眼で見つめる
「期待・・・してました」
「え?」
「私は昔から貴方の事を覚えてました・・・貴方はきっと違うって、願ってた・・・願ってしまった」
真理亜が俺に近づく
きれいな着物を着た美少女
やっぱり女の子なんだな
双子だけど俺よりずっときれいだ
「再会したら、抱き締めてくれるかもって・・・暖かい胸の中で私を溶かしてくれるかもって・・・期待してました」
真理亜が一粒涙を流した
酷く綺麗な・・・その一粒
床に落ちて凍りつく
「もう・・・いい・・・私が馬鹿でした」
「真理亜・・・」
「貴方は帰って・・・私はここにいる。」
「真理亜!」
「帰って!一人にして!近寄らないで!」
突き飛ばされた
鉄製の扉が閉まる
俺は・・・結局自分の事しか考えてなかったから
彼女を傷つけた
ダメだ・・・どうすりゃいいんだ
俺は・・・・
わかんねえよ
どうすりゃ・・・いいんだよ?
自分の部屋に戻る
ため息しかでない
俺はクズだ
クズでどうしようもない
妹を救ってやれるチャンスを逃した
「ぼっちゃま」
「中津さん・・自分のクズっぷりに嫌になる」
「・・・自覚は進歩でございます」
真理亜・・
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