ジジイから電話があった
真理亜を説得して一緒に暮らせるようになるまでそこにいろと・・・
そんな・・・冬休みが明けてもここにいろだと?
彩花とのラブが深まらないではないか!
中津が紅茶を入れている
真理亜とはあれ以来口を聞いていない
「くそっ」
「ぼっちゃま、イライラした時には紅茶がよろしいです」
「なんなんだ・・・あいつは、むかつく、むかつく」
「・・・真理亜様もお辛かったのでしょう」
「・・・・・」
だろう・・・な
俺なんかよりずっと寂しくて怖くて辛かったんだろう
だがイライラする
どうすればいいのか分からない
彼女は最初、俺に心を開こうとしていた
やっと会えた生き別れの兄に
バケモノのような親ではない唯一の家族に
それなのに・・・俺は
あんな突き放すような
あー!くそっ!くそっ!
どうすりゃいいんだ
人間関係で悩むなんて事はなかった
短いサイクルでいろんな人と仲良くなるのは得意なのだが
一人の人間に真摯に向き合うなど・・・
「ぼっちゃま」
「なんざます?」
「・・・・」
「ごめんなさい!なんですか?」
「ぼっちゃまなら大丈夫。真理亜様と仲良くなれます。努力しましょう」
「・・・ありがとうございます。中津さん」
よし、まずは話す事だ
なんとか仲直りしよう
彩花と遊んでいる
チャンスだ
二人に近寄る
「何してんの?」
「葛城くんもチェスやる?」
「あぁ、得意だよ!やるやる!」
真理亜はそっぽを向く
いつも着物姿なんだよな・・・
かわいい顔してるな・・・これから仲良くならなきゃ
彩花の対戦が終わる
俺と真理亜が向き合うように座る
「真理亜、負けないぞ」
「私も"隼人さん"なんかに負けません」
「あ・・・」
真理亜は俺に微笑みかけるが・・・作り笑いだ
もうお兄様とは呼んでくれない・・・・
やはり俺は彼女を傷つけてしまったのだ
ゲームが始まり
あっと言う間に勝敗がついた
俺の・・・負けだと?
「真理亜、すごいね・・」
「いえ・・」
「も、もう一試合・・・」
「彩花さん、道場を見学しませんか?私、武術も得意ですの♪」
真理亜は俺を見ずにすぐに彩花に話しかけた
「へぇ、いいねー!いこ!」
彩花と行ってしまった
なんだよ・・・・なんだよ!
俺が悪いのかよ!
むかつくむかつく!
チェス板を放り投げた
・・・・が、中津がキャッチした
「ぼっちゃま、今は辛抱なさいませ」
「くそっ・・・」
むかつく・・・
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