彩花に抱きついた
「愛してる」
そうささやく
「えへ、、衝撃の瞬間!」
あれ、彩花あっちにいる?
じゃあ、、、これ・・・なに?
「葛城くんは木を愛してるんだね」
「あ・・うん、大好き」
彩花はニンジャか・・・
二人でしばらく外で遊んだ
「葛城くんはお母さんとお父さんいないんだっけ」
「あぁ、でも妹にはいた」
「ふーん・・・」
「彩花のお母さんって・・・」
「ん?あぁ・・・まぁ・・・うん」
彩花はうつむいた
あぁ、いかん事を聞いてしまったか
「私はね、昔は大事にされてたんだよ」
「へ?」
「母さんの思うように行動してれば愛されてた。母さんの認める笑顔をつくれば抱き締めてくれた。母さんの言う通りに男の子の服を着たらみんなに自慢してくれた・・・」
「それ・・・どうなの?彩花?キツかったんじゃ?」
「正直なにも思わなかった。ただ弟が生まれてから母さんは変わった・・・結局母さんはね。"私"を育てたんじゃなくて"中性的ななにか"を育てたかったんだよ」
「・・・・でも母親がいるっていいよな」
「そう?」
彩花が足元の雪を丸めて遠くに投げた
「結局ね。親なんて誰でもなれるんだよ」
「ん?」
「例えばさ、私と葛城くんで子供を作ったとする」
「お、、、、」
やっべ!やっべ!超興奮する!
「私も君も親っていう肩書きがもらえる。法的にも親でいられる」
「うん、、」
「でもさ、その親の質ってどう?中学の女の子と男の子に人を育てられるだけの資質があると思う?」
「あ、あ、、、」
やばい、、、その子供を作る仮定の行為がぁああ、、、
「結局・・・親がいたって。つらい場合もある。親がいないほうがマシな場合もある・・・人間的に異常な女でも子供を作れば"親"の肩書きが貰えるけど・・・"母親"になれるわけじゃない。ずっと"異常な女"のままかもしれない。」
「は、、はぁはぁ、、」
「葛城くんはフェラーリほしい?」
「ふぇら・・・ほしい、、、して、、、ほしい」
「欲しい物が手に入らない時には都合のいい理想になっちゃう。恋は片想いが一番キモチイイのと似てるかな」
「きもちぃ、、なるほど、、」
「でも手に入れたら高い維持費を払わなきゃいけない。手に入れたら手に入れたで違う苦悩があるって事」
「お、俺はそれでも君が!」
彩花がしゃがみこんで
またなにかを抱き締めるような仕草をした
「それでも・・・欲しい・・・瑞希くんが欲しい」
「彩花?、、」
彩花はそのまましばらくしゃがみこんだままだった・・
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