目の前のデカイ洋館
思ってたよりもかなりデカイ
こんな山奥に・・・
「ここもおじ様の所有地です・・・先祖代々受け継がれている土地です」
「へぇ・・・」
中津はしっかり把握してるのか
さすが執事・・・
彩花がなにか立派なカメラを持っている
車の中で箱から取り出していたそれは
カメラだった
さっき買いに寄ったのはこれを買うためだったのか
大きな一眼レフ
「へへー、冬休みの生活費浮いたから買っちゃった」
「俺と結婚したらそんなモノいくらでも買ってや・・・」
「葛城くん、一枚、ほれほれ♪」
「お、おう!」
また流された・・・
まぁ、よい
時間をかけてねっちょりとな
中津がインターホンを鳴らす
いや、しかしデカイし広いな
ここに俺の片割れがいるのか
妹・・妹ね
「はい・・・」
蝶の柄の赤い着物を着た少女が出てきた
黒髪で・・・・顔が俺にそっくり・・眼が碧い
本当に双子・・だったのか
俺と眼が合って微笑んだ
不思議な感覚
俺はあんな風に笑えない
「客間にどうぞ。ようこそいらっしゃいました」
使用人はいないのか
中の造りもなかなかに豪華だ
客間には品のいい家具
骨董品の棚
くそ・・・このレベルの暮らしにはやく戻りたい
椅子に座った
妹はお茶を入れた
黒髪だが顔の造りは俺に似てガラスのようにきれいだ
よかったみすぼらしくなくて
「真理亜ともうします。お兄様・・はじめまして」
「あ、うん」
かわいいな・・・妹
どんな子なんだろうか
「俺は隼人・・葛城隼人。こっちは執事の中津、こっちは有村彩花。あの世界的に有名な有村圭二の娘だよ」
真理亜は口許を押さえた
びっくりしてるのか?
「まぁ・・・会えて光栄です」
微笑む・・・なんだか汚れがない
俺とちがう・・・
俺は母さんにも父さんにも選ばれなかったもんな
そうだもんな・・・
俺は失敗作・・・
「ぼっちゃま?」
「あ・・」
「・・・私はおじ様に連絡してきます。」
「うん・・・」
中津が電話をしにいった
初めて感じた
劣等感・・・みたいなもの
彼女はたぶん親にたくさん愛情をもらった
俺がどんなに金を積んでも手に入らないものを
「彩花さんもお写真を?」
「あ、うん。撮るのは好きですよぅ」
「まぁ、素敵。中庭を案内いたしますわ。きれいな花も咲いていますし」
「わぁ、、ぜひ!」
彩花・・・もう仲良くなってるな
フレンドリーすぎたろう
俺は胸のうちにある感情に戸惑う
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