冬休みまで二週間ほど
庶民どもの生活を知らぬ俺のためにと買い物を任された
これもおじ様からの命令だそうだ
くっそ・・・徒歩で、買い物とはな!
中津がいてくれるからいいが俺の命が狙われたらどうする!?
「中津さん。俺の命は価値は?」
「・・・命に価値など付けようがございません。ただ女遊びと戯言漏らしてへらへら気品のない笑いと金を振り撒く今のぼっちゃまの性格に価値はありません」
「けっこうズバズバ言ってくるようになりましたね」
「はい」
「執事なんだから優しく包み込むように言ってください」
「執事は主を正しく導くために必要な事を必要な言葉で伝えます」
「あぁ、優しさに包まれたい!」
ここが庶民どもの市場
スーパーマーケット
「つまらん」
「買い物は賢く品物を見極めませんと」
「三流ばかりではないか」
「一般的な品質の食材ばかりです。」
中津がすぱすぱと食材を見てかごに入れていく
学校から帰ってきて毎日こんな感じだ
あぁ・・美食が恋しい
帰り道
公園の近くを通った
俺のセンサーが・・・反応っ!
「あ・・・彩花!」
これは運命だ!
やはり彩花とは結ばれる運命にっ!
幼稚園児くらいの男の子と遊んでいる
ハッとした
昔、どこかで見た少年の絵に瓜二つ・・・のような
「あ、葛城くんと中津さん」
彩花がこちらに気づいた
「我が嫁・・・・・っと、彩花ちゃんこんにちわ」
あぶないあぶない
言いかけた
近寄ってきて俺の顔を覗きこむ小さな男の子
まるで天使
この俺が・・・・保護欲を掻き立てられる
信じられん!
「瑞希くん、お兄ちゃんに挨拶はー?」
「こんにちわっ♪」
くそかわいい
くっそかわいい!
なんだこのガキは!?
くっそかわいいぞっ!?
彩花と・・・笑い方が似ている
「おかいものしてきたのぉ?」
瑞希が俺の買い物袋を見る
「お、おぅ」
「おかいもの、楽しいよねぇ♪」
「お、おぅ!楽しい!天国だ!」
さっき買ったチョコレートやろう!
全部やろう!
「瑞希」
一人の女性が近づいてきた
これまたうっとりするくらい・・・
「瑞希、良かったね。"近所の人"に遊んで貰ったのね。さ、帰ろうねー」
俺と中津に会釈をして
手をひいて
連れていく
一瞬、彩花に眼を向けた時
背中が凍りつくほど恐ろしい眼をした
「あの子、弟」
「えと・・じゃあ」
「・・母さん、あれ」
母親・・本当に?
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