東横線の各駅停車は、日曜日でもゆっくりと座って渋谷まで行けるので、人気がある。沿線に、田園調布や自由が丘を抱えるだけに、車内には、リッチな雰囲気が漂う。
やはり東急は、京急や相鉄とは大違いだ。母も、敏感に開放的なムードを感じたらしい。すっかりご機嫌を直していた。私に、ぐっと身を寄せ、ブラウスの下の柔らかい乳房を私の腕に押し付けてきた。
どうかしら?こうやって貴方といちゃついてたら、相模原の叔母さんが言ってたように。私たち、夫婦か恋人に見えるかしら?
母が、悪戯っぽく私を覗き込みながら、うっとりと言った。
嫌だよ。俺まだ24才なのに随分、年増の彼女と付き合ってるって思われて。
○○ちゃん言ってくれるわね。貴方、風呂なし車なし女なし無職男でしょ。最近は、熟女ブームで若い彼氏持ちが多いのよ。
知らないでしょうけど、デパートの化粧品売場の美容関係者は、引く手あまたなんだから。
母が、私の腕をグイと引っ張って、また私を覗き込んだ。いつから、母とこんなに距離が縮まったのだろう。この二日間のことだ。飛躍的な進展だ。それとも、これから就職する息子の緊張感を緩和してあげようという精一杯の母心を演出しているのか?
えっマジ?でも需要は、若い女性部員だけじゃないの?まさか母さんが、どっかのエロじいさんに口説かれたとかあるの?
これで引き下がると思いきや。めげずに、母は、反論して来た。車内は満席となり、渋谷は、もうすぐだというのに。止まらない。
うーん。灯台元暮らしとはこのことね。ついこないだなんか、オジサンどころかイケメン25才会社員の男の子に、それはそれは熱心に誘われたんだから。母さんがだよ。
えっマジ?それでどうしたの?
いやいや驚いてしまう発言だが、冷静さを装おいながら、母に聞く。
うん、真面目そうだし何回も売場に来るんで、根負けしたのか。母さんデパート内のスタバだけ付き合ってあげたのよ。
そして、私の本当の年を言って、貴方と同年代の息子がいますって言ったら、それっきり来なくなったわ。
そしたら、何故か貴方のこと思い出して、胸キュンになっちゃつて。母さん、無性に貴方に会いたくなっちゃつたのよ。母が、私の腕を自分の胸元にグイッと引っ張った。
ふーん。あんまり良く分からない話だね。と困惑する私。
どう解釈すべきか一瞬悩んだ。実家にいる時は、働く元気なお母さんでしかないのに。口説かれた話なんて何でするんだろう。
うーん。これってヤバくないか?詰まるところ、俺と○○○○するために来たのか?入社式は、大義名分に過ぎないのか?妄想が、頭の中を駆け巡る。
思わず、今夜母さん!○○○○しよ!
口に出そうになったところで。渋谷に着いた。
いけない大事なことがあるの。調布の○○さん訪問前に、貴方と打ち合わせをしておきたいことがあるの。渋谷で食事しながら、打ち合わせしよか。
母が、うって変わって真剣な表情で言った。
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