「なんで最初から私のところに来なかったんだ」
結局夕方になり咲子さんの宅に来た
知り合いに自動車に詳しい人いるじゃん・・・
「師匠、私かわいい車がいい!」
「うん・・・」
「速いのがいいしかっこいいの!コンパクトでセクシーでエレガントでポップな!」
「うんうん・・・」
僕はレオと遊んでよう
姉さんの望む車なんてないよ・・・
「僕、夕飯の準備しに買い物と散歩してきますね、レオおいでー」
「あぁ、悪いね」
咲子さんが苦笑してる
姉さんのわがまま・・・聞いてやってください
さて、マンションの下まで来たぞ
今日の夕飯は三人でって事になった
「レオは何が食べたい?」
黙って僕を見上げるレオ
もう老犬だけどきれいな毛並
大型犬だから13年くらいまで生きるんだよね
生きてる間に何か美味しいもの食べさせてあげなくっちゃね
散歩してからスーパーに行こうっと
川辺の公園を通って渡り橋をわたる
散った桜の木が妙に寂しげ
街頭の灯りがともりだす
けどまだ明るい
夏が近づいたから夕方になっても明るいんだよね
レオが同じ歩調で歩いてくれる
とってもいい子
ふと・・・向こうから歩いてくる二人の影
あれ・・・
「西野!遅い!」
「ま、待ってよ胡桃ちゃん」
「はやく歩いて!」
たくさん荷物持ってる西野さんと不機嫌そうな胡桃ちゃん
あーれ?
「こんばんわー?」
二人がこちらに気付いた
「瑞希くん、やぁ」
「西野さん?どしたの?」
「買い物付き合わされてね・・・・んで、彩花先生の家に行きたいって言い出して」
西野さんが苦笑してる
お疲れさまです・・・・
「瑞希、散歩?」
「うん、散歩してから三人ぶんの夕飯の材料を買いに行くんだ」
「三人?ふーん、彩花先生は?」
「お師匠さんの家にいるよ、夕飯は今晩そこで食べるの」
胡桃ちゃんが眉をぴくっとさせた
「五人分用意して」
「へ?」
「私たちも一緒に食べる」
ま、いいかな
お客さんは多いほうがいいだろうし
胡桃ちゃんはお師匠さんとも面識あるらしいし
「ちょっと!胡桃ちゃん、荷物どうすんの」
「おだまり西野」
「はい・・・はいはい」
いいコンビ・・・・・じゃないかな?
西野さんの荷物を半分持ってあげてしばらく散歩
「きれいなゴールデンレトリバーだね」
「はい、お師匠さんのワンちゃんなんです」
「へー、、」
急に胡桃ちゃんがかまってと言いたげに僕の服の裾をつかんできた
今日は大物のわがままな子が二人もいるや・・・
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