姉さんがちょうど作業を終えて廊下を歩いていた
「姉さん!」
姉さんが振り返った
僕に気づいて一瞬微笑んだけど
すぐに後ろの西野さんに気づいて
困惑の表情に変わった
「あ・・・」
「先生・・」
姉さんは近づいてきて
西野さんの肩を叩いた
「長い修業だったね、弟子っ」
「先生・・・っ」
「また・・・日本で働くんだね?」
「はい・・・」
「期待してるよ」
お互い・・・
言わなくても分かってる
もうそういう関係にはならないって
姉さんが僕の服をつかんだ
「仕事ぉ、とりあえず疲れたぁ・・・元気補充させてね」
姉さんが恥ずかしげもなく抱きついてきた
西野さんがくすっと笑った
しばらく後・・・・
僕が高校二年生になって落ち着いてきて・・・
春も終わり
熱い夏の足音が聞こえる頃
僕は姉さんに渡すものがあった
お金をたくさんためて買ったそれは・・・さりげなく二人をつなぐ証
「姉さん、ちょっといい?」
「ん?」
「渡したいものがあるんだ」
「お、奇遇だね♪私もぉ」
ん?なんだろ
まぁ、僕が先に・・・渡そう
「姉さん、これを」
二つの木製の腕時計
特注で名前を彫ってある
ミズキ
サヤカ
ローマ字で彫ってある・・・・
「これ、いつまでも二人は一緒って証・・・僕からのプレゼント」
姉さんはボロボロ泣き出した
「うぇえん、、、うれしぃ、、」
「ね、姉さん、、、ほら、姉さんはなにを渡したいの?」
姉さんは泣きながら
ポケットからきれいなバッジを二つ取り出した
「ロマンチックじゃなくてごめんねぇ、、、」
「泣かないで、嬉しいよ」
なんの模様だろうか
星のような・・・ハートのような
「大事にしようね、、」
「うんっ、、」
ささやかだけど
二人の絆の証、、
姉さんの仕事を西野さんがまた手伝うようになった
恋人のようだった事があったなんて感じさせないやりとり
もう完全に終わったんだろうな
休憩中、西野さんと話す事も楽しみのひとつに
「最近胡桃ちゃんの扱いが難しいんだけど・・・なんでかな」
「たぶん、僕のせいです」
「え?」
「告白されちゃって、、」
「あー、、モテるね、、」
「西野!」
胡桃ちゃんが遠くのほうで手招きしてる
西野さんが苦笑いしながら駆け寄る
いいコンビに見える・・・気がする
「みーずーきーくん、、」
「姉さん、おつかれさま、、」
姉さんがくっついてきた
手首にはお揃いの腕時計
「ふふっ、、」
姉さんはニヤニヤしながらそれを眺めている
嬉しそうに・・
少女のように
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