私が作品と呼ぶ写真
それは私が対象物が一番輝く時、何かの意思や思惑を孕む時を"狙って"撮った写真の事
今日撮りたいのは作品
ある地方にある大木がある
何千年も前そこに根をおろし
この星の行く末を見守っている
「でっ・・・・かい・・」
実際に見るのはこれが初めてだ
圧倒されてしまうその存在・・
とてつもない生命力を感じる
「先生、キャンピングカーでも借りますか?何日でも粘れますよ」
「うん、そうしてくれたまえ」
「・・・ジョークですよ?」
「通じない、手配して」
「・・・・はい、分かりました先生」
西野くんは苦笑して電話をとりだした
私の性根は分かってるんだね、さすが弟子
撮りたい瞬間のためならホテルのディナーなどいらない
うん・・・いらない
・・・・・・・・
「西野くん、ホテルのディナーテイクアウトしてきて」
「それは・・・無理です」
日が暮れかけて
キャンピングカーの中で西野くんが夕飯を作ってくれている
私は荷物を片付けて一息ついた
キャンピングカーの中にライフル銃がある
すごくでっかい・・・
「なんでライフル?」
「熊避けです」
「あー・・・」
くま・・・・瑞希君にもらったくまもんのストラップならあるな
「くまが出たよー」
西野くんにストラップをつきつける
なんか面白い返しを期待しよう
「・・・・・本当に・・・貴女って人は」
強く抱き締められた
「離して・・・」
「まだ好きです」
「・・・・やめて」
「貴女は・・・俺の想いを分かってくれてると思ってたのに」
西野くんが私の頬に触れる
抵抗するけど逃げられない
西野くんはため息をついてさらに強く抱き寄せた
「・・・しばらくこうさせてください」
「ダメ・・・」
「お願いします・・・こうしてるだけですから」
「・・・・」
静かに過ぎる時間
立ったまま抱き締められている
西野くんは静かに離れた
「約束・・・守れなくてすみません」
「・・・いいの、はやくご飯作って」
「・・・・はい」
ぎこちない・・・こんなんじゃ、仕事うまくいかない
それに・・・さっきドキドキしてしまった
日本から離れてから
こんなにドキドキしたのは初めて
やっぱり、私は彼に好意がある
今でも・・・・
たくさん愛をささやいてくれたから
でも私は瑞希くんしかいない
「西野くん・・・」
「はい?」
彼のほっぺたにキスをした
「日本に帰るまで、仲良くしよ?抱き締めたいなら抱き締めていい」
西野くんは苦笑した
・・・私は彼を代用にした
彼の想いを受け止めず
私にも罪はある・・・
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