鑑定結果を見て少し・・・いや、かなりショックだった
もう、聞こう
私にだって知る権利はあるはず
何も言わず父さんに鑑定書を渡した
「・・・・すまない」
「どうして?」
「・・・お前を傷つけたくなかった」
「傷つくわけないよ!血がつながってなくたって、私の大切なお父さんには変わりないんだから!」
「彩花・・・」
父さんは申し訳なさそうにうつむいた
「私も不倫相手の子?」
「そうだ・・瑞希と同じ男の・・・・」
「父さん・・・」
「まさか自分が男性不妊だなんて思わなかったよ・・・許してくれ、彩花」
男にとってこれほど屈辱的な事はないだろう
それでもこの人は私を立派に育ててくれた
こんなに尊敬できる人は他にいない・・・
しばらくして
父さんの病状が悪化した
入院するかしないかを考える間もなく
安らかな顔で無くなった
父さんは静かに埋葬してくれって言ってた
言われたとおりに
私と師匠と桂、三人だけで行った
師匠は涙を流さずに私の肩をつかんだ
「お父さんを越えるんだよ、それがあの人へのなによりの親孝行だ」
「はい・・・師匠」
桂は墓石の所で静かに目をつぶって祈っている
また、ただの勘なんだけど
この人、私の・・・・
いや、そんなの考えすぎだ
父さんは貸しがあると言っていた
父さんがそんな事言うのは生まれて初めて聞いた
とってもとっても大きな貸しなんだろう
この男は何か罪を償うように生きている
囚人のような・・・
そして時折、私に見せる気遣いが
何かを・・・感じさせる
父さんの遺書が見つかった
私への遺産は無し
貯金はすべて寄付されていた
遺書にはこう書いてあった
自分で切り開いていけ!
お前ならできる!
たった二行の遺書
なによりも重く強く心にくる言葉
「これからどうするんだ?」
桂にそう問われた
私はもう20歳
どこにでも行ける
自由に活動できる
「日本に・・活動の拠点を移すよ」
そろそろ、夢を叶えたい
弟に会いたい
ずっとずっと会いたかった弟に
日本に移り
色々と人脈を広げ
様々な人に出会い
そして23歳になった
少しでもはやく大人になりたくて・・・・子供の頃からの癖で歳を一つ足してた、治さなきゃな
もう大人だ、立派になった
マンションの一部屋を買い
そこで暮らしながら生活する日々
桂もちゃんとサポートしてくれる
勘だけど・・・父親はこの人だろう
償うよう、静かに優しくに私のそばにいてくれる
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