あの絵を・・・見せた
姉さんは何も言わずにじっと見いっている
江里さんは受け付けにいなかった
今日はおやすみかな?
「・・・姉さん、あの」
「蛙の子は蛙の子だね」
「え?」
姉さんが胸ポケットから手帳を取り出した
手帳の間から一枚の写真を取り出した
「覚えてるかな?これね、再会した時に初めて君を撮った写真」
「あ・・・」
この葉をつまんで見つめる僕
絵とそっくり・・・
違うのは物悲しそうな表情と葉っぱだけだ
びっくり・・・こんなの奇跡だよ
「・・・僕、こんなに悲しそうな顔してたんだ」
「今は違うよ」
「え?、、」
「今はとっても幸せそうな顔、見せてくれる」
「ん、、、、てかさ、なんでこの写真持ってるの?」
姉さんがもじもじしだす
「だってさ、物悲しそうな君もきゅんきゅんして慰めたくなるじゃん、、」
「姉さん、、、」
「それにしても・・・この絵・・・そっくりね」
もう一度二人で絵を見る
綺麗な少年
母さんはこの絵の少年を愛してた
僕じゃなく・・・平面の世界の彼を
「あ、瑞希くん?・・・彩花ちゃん?」
声がした方を見る
江里さんがいた
姉さんが首をかしげた
「姉さん、あの人、お母さんの妹だよ」
姉さんはそれを聞いてじっと江里さんを見つめた
母さんに似てる
でも母さんじゃない
「はじめまして、有村彩花です」
「境江里です」
美術館内のカフェに来た
車椅子でも入店していいらしい
姉さんと僕はコーヒーを頼んだ
江里さんは紅茶
江里さんが微笑みかける
母さんの笑顔に似ててドキッとする
「瑞希くん、怪我しちゃったのね」
「あ、はい、、」
「早くよくなるといいね」
江里さんは姉さんのほうに視線を移した
「彩花ちゃん・・・いや、有村先生・・姉の事だけどね」
「はい」
「姉は幼い貴女に対して愛を注いでいなかった・・・それは恨んでいるでしょうけど」
「いえ、恨んではいません」
「そう・・・そうなの」
「私は・・・尊敬できる父・・・そして母のような師匠がいてくれましたから、愛には飢えてはいません、とても満たされていました」
「そう・・・そうだったのね」
「私はいいんです、母から離れてむしろ幸せでした・・・かわいそうなのは瑞希くんです」
「・・・・」
「逃げられない状態で異質な奇形な愛をただ注ぎ込まれるなんて最悪の拷問です」
姉さんが僕の手をぎゅっと握る
「彼を幸せにするのが私の役目です」
姉さん・・・
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