あの後、西野さんは一週間ほど人前に出れない顔になったとか・・・
「ほんと、普通に飲むつもりだったのに・・・酔いすぎた俺が全部悪い!ごめん!瑞希くん殴って!」
「西野さん、もういいんです!どっちにしろ、姉さんやりすぎです!こっちが謝らないと!」
西野さん、泣いてる
「これから普通に君と友達になれるように努力したかったのに・・俺の悪い虫が出た」
「西野さんの悪癖があったからこそ、なんだか安心しました」
「え?」
「動画、撮るのお好きなんですね」
「っ、、、ごめんっ、、」
「あれ・・・じゃあなんで最近姉さんの帰りが遅かったんだろ?」
「んと・・・?最近はたしかに仕事終わってからどっかに行ってたね・・・ 瑞希くんとの記念日になんかするからその準備にって・・」
記念日?
あぁ・・・・そういえば
もうすぐ一年になる
姉さんと再会してから
西野さんの件は許した
どれだけベロベロになってもあんな恐ろしい事されたら下心なんか全く出ない
僕でさえ、怖かった、、、
でも、姉さん、よかった
流されないでいてくれた
動画のSDカードも廃棄する約束をした
もちろんそれを見た事も内緒にする
あれが僕の手に渡った事を知ったら本気で西野さんの命が危ない、、、
夕方になった・・・病院のニオイって落ち着かない
歩けないし
しんどいなぁ
本でもあればいいんだけど・・・
扉が開いて、姉さんがやってきた
「瑞希くんっ!、、」
「姉さん、おつかれさま」
抱きつかれた
僕も抱き返す
こんな細い腕でどうやってあんなすごい一発を放てるのだろうか
武闘派の姉を持つと心強いけど頭はあがらないな
桂さんも来てくれた
「二、三日したら退院していいそうだ」
「しばらく車椅子かぁ」
「不便だろうが・・・まぁ彩花のマンションはエレベーターもあるしな」
暮らしはなんとかなる
胸のつかえもとれた
「今日はお姉ちゃんとまってくよ」
「え?できるの?」
「ん・・・・できるよね?ヅラ!」
桂さんは静かに頷いた
車椅子を押してもらって食堂へ
病院食もあったんだけど姉さんと一緒に食事したかったし
「瑞希くん、車椅子似合うね」
「んー?うれしくない」
「病弱な美少年、守ってあげたくなるっ、、」
「やめて、、、それにも少年じゃないし、、」
姉さんと一緒がいい
一番いい・・
それはずっと変わらない
※元投稿はこちら >>