成績の話･･･
まぁ、勉強はできるほうだと思っている
苦手な科目はない
まんべんなくいい点がとれている
村田先生がにやにやしている
｢学校での態度や素行も問題はかな･･･かな？｣
なぜ僕を見る･･･？
･･････
あぁ････//
なにが言いたいか分かりましたよ
学校で姉さんとえっちしたから素行には問題がありますよ//
ええ、そうですよ
桂さんはうんうんと頷きながらも真剣に聞いてくれている
母さんとの関係が不倫だったとしても
ちゃんと父親をやってくれている
それがなによりも嬉しく、何よりの救いだ
どちらにとっても必要な存在･･･
村田先生が羊羮をひとくち、口にはこぶ
美しい唇が艶っぽい
微笑んで話が続く
村田先生が･･･あのお父さんと
いったいどんないきさつがあってそうなったのだろうか･･･
｢瑞希君、将来はどうするつもり？｣
｢はい？･･･将来？｣
｢大学には進学するんでしょうけど･･･｣
｢･･･｣
将来の事、真剣に考えるなんてしなかった
ずっと母さんの敷いたレールを歩いてきた
僕の意思なんてなかった
やりたい事なんて･･･見つからなかった
僕は母さんの人形だった
この前、美術館に行ってから改めて強くそう思う
今から、生きるために、強くなるために･･･
考えなければ･･･
村田先生が帰った後、桂さんはしばらく残ってくれた
お夕飯、まだだったし
｢お父さん、夕飯食べよ｣
｢あぁ、今日はうな丼か｣
｢おいしいよー♪僕の特製！｣
桂さんは･･･お父さんは僕をとっても愛しそうな目で見てくれる
頭を撫でて微笑んでくれる
最初の頃よりもずっと自然に･･･
｢瑞希はやさしくて可愛い子だ｣
｢え･･･あー、でも男なんだから･･｣
｢お母さんがした事は間違いだった･･･だがな｣
桂さんは僕の肩を強くつかむ
｢お前は素晴らしい子だよ、瑞希･･･俺はとっても誇らしい･･･お前が俺の息子だという事が･･･とっても･･･とってもな｣
｢お父さん･･･｣
｢学費は俺が出す、何かやりたい事があったらいいなさい、父さんはお前と彩花の味方だぞ｣
今から一歩を踏み出す時なんだろう
将来の事を真剣に考える時期
もう僕に手錠をかけてレールを敷いてその上を歩かせる人はいない
これからは全部自分で決めなければ･･･
桂さんが帰った後
ベットによこたわる
ぽつりぽつりと滴が窓を当たる
雨は今夜も止まない
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