美術館に入った
外も中も綺麗だなぁ
最近できたばかりなのかな?
美術館に入るなんて初めてだ
あ、そうだ、入場料払わなきゃ・・・
受け付けに近づく
受け付けには女性が一人いた
かなり綺麗・・・・あれ?どっかであった事あるかな
僕の顔を見るなり口を押さえた
ひどく驚いているよう
え・・・・?なんで?
「あの、入場料はいくらですか?」
「境瑞希くん・・・?
「え?・・・・なんで僕の名前を・・・」
「君のお母さん、知ってるから・・・君の事も」
受け付けの女性は戸惑う僕に手招きをした
彼女の後ろについていけばいいのかな・・・
「あ、あの・・・」
「あ、自己紹介しなきゃね・・・境江里です」
「あ、僕と同じ・・・・」
「うん・・・・さ、こっちよ」
言われるがまま
ある展示室に入った
そこには絵があった
大きなの一枚絵
その絵にかかれているのは花を見つめ微笑む少年
それは・・・・
その少年は僕に瓜二つ
「1950年作・・・無名の画家が書いた作品よ」
江里さんがそう言う
僕は絵になるだけ近づいた
僕だ・・・僕がいる
絵の中に僕がいる
「貴方がここに来たって事は姉さんは亡くなったのね」
「え?」
「姉さんは身内の事話さなかったでしょ?私、妹よ・・・・」
「は・・・・」
こんがらがってきた
なんだかびっくりの連続
江里さんが僕の顔をまじまじと見た
「綺麗ね・・・ほんとうに」
「は・・・はぁ」
「姉さんはね、物心ついた時からこの絵に魅了されてた、絵の中の[あの人]に恋をしてたの」
江里さんが絵の中の少年を指差す
あぁ・・・母さんの言ってた[あの人]って・・・
生きてる人じゃなくて
絵の中の少年だったのか
「幼い頃から別れてくらしてたんだけど・・・・・・・姉さんはね、あの人に焦がれて画家を目指したの・・・・絵の中であの人を書いて自由にさせて、それは姉さんにとって特別な時間だったみたい」
「そうだったんですか・・・」
「彩花ちゃんが生まれて母親になって・・・しばらくして貴方が生まれて、姉さんは変わっちゃったんだと思う」
「・・・」
江里さんが少し苦笑した
「あの人がこっちに来てくれた・・・って・・・それからはもう連絡がとれなくなったんだ」
「・・・・江里さんはここで働いてるんですか?」
「まぁ・・・親の脛かじってるみたいなもん、この美術館は親のものだよ」
来てよかったのか
分からない
けど・・・母さんの事もっと知りたい
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