空港内のレストランで軽く昼食をとることに
桂さんは二人で行ってこいと言ってくれた
姉さんと座ってメニューを開く
「私、ケーキ食べよっと♪」
「うん・・・」
「ねぇ、瑞希くん?」
「うん?」
姉さんが小さな箱をくれた
なんだろ?
「プレゼント♪まだ開けちゃダメだよ?」
「うんっ、、」
いつもどうり会話して食べて
あれ?姉さん元気だなぁ
寂しくないのかなぁ
いよいよ、見送りの時
搭乗ゲートまで手をつないで歩いた
桂さんは一歩さがってそれを見てくれている
この時期はあまり混んではいないらしい
すぐにでも飛行機に搭乗できる
「ねえ・・・」
「うん?」
姉さんが僕の手をぎゅっとにぎる
「止めて・・・」
「姉さん・・・」
「行かないでって言ってくれたら行かない、そばにいる」
姉さんが泣きそうな顔
僕は抱き締めて頭を撫でてあげる
「二人で生きるにはさ、離れる事に慣れなきゃ」
「うぅ・・」
「信頼してるから背中合わせで戦える、そうでしょ?」
「へへ、うんっ」
姉さんが少し笑ってくれた
搭乗ゲートまで姉さんが歩いていく
行かないで!一緒にいて!
叫びたい
でも、ダメ
二人で生きるって事は
ずっとくっついて生きるってことじゃないから
姉さんが搭乗ゲートを潜った
荷物検査をパスしてすぐに振り返った
半泣きで僕に手をふる
どんな顔でもかわいい姉さん
どうしようもなく止めたくなるけど
僕はこらえた
姉さんの姿が見えなくなって
僕は涙がぽろぽろ落ちてきた
辛い、切ないよ・・・
飛行機が離陸していく
大空へ、僕の知らない世界へ
姉さんは行ってしまった
僕は姉さんが好きだ、大好きだ
プロで妥協しなくて頑固でこだわりが強い有村彩花を
頭を撫でるとふにゃふにゃして僕に甘えて抱きついてくる姉さんを
愛している
世界の誰よりも・・・
姉さんを見送ってしばらくたって
ようやく姉さんのいない生活に慣れてきたころ
母さんのお墓参りに向かった
大分来てなかったか汚れてる
「ごめんね、母さん」
墓石をきれいに拭いて雑草を抜いて
線香を供えて手を合わせた
「・・・母さん、貴女を理解できない・・でもね」
「恨んでもいないよ・・・もうへーきだよ」
「ね?見て?僕強くなったよ?」
「母さん、がんばるね」
僕はそうささやいて
後片付けをして
家に向かった
姉さん、元気かな?
寂しくて泣いてるかな?
今度会う時には強い男になってるからね
[終]
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