岸辺までついて
桂さんが毛布で僕と姉さんを包んだ
「ばかな事・・・するな」
桂さんは泣いている
「瑞希くん・・・」
「姉さん、生きよう?」
「でも・・・」
「二人なら大丈夫、ねっ?」
「うん・・うんっ」
桂さんはその場で土下座をした
「すまなかった・・・すまなかった・・脅したりして」
「桂さん」
「・・・・すまない」
「お父さん・・」
「・・・」
桂さんが顔をあげた
僕は首を横にふった
「いいんです・・・」
数日後、大した騒ぎにはならなかったし
学校にはなんとか嘘をついてごまかした
インフルエンザが長引いたって事にして
自宅に帰ってきた
たった数日帰らなかっただけなのにすごく懐かしいかんじ
姉さんとソファーに座って寄り添う
「瑞希くん、ありがと」
「え?」
「あのまま、死ななくてよかった、助けてくれてありがとう」
「ううん・・いいよ」
軽く口づけを交わして
見つめ合う
「姉さん・・・?」
「ん?」
「しばらく、離れて暮らしてみない?」
「え?」
「あのね、やっぱりさ・・・お互いの心がまだ子供すぎる気がするんだ」
「・・・でも」
「姉さん、海外の仕事したいんでしょ?」
「・・・・うーん、したいけど」
「行ってきなよ?僕も耐える努力する、前みたいに寂しがらない、強くなる」
「瑞希くん・・・」
抱き合ってそのまま
何時間も何時間もキスをした
姉さんは桂さんが辞表を出すのを許さなかった
私のサポートを続けて償えと
それと僕と姉さんの関係を見守っていてほしいと
しばらくして
「瑞希、遅れるぞ?」
「はいはーい」
学校は事情があって早退する事になった
桂さんの車で迎えにきてもらった
「お?弟子の執事?」
村田先生が首をかしげている
「ううん、僕のおとうさんですよ♪」
車に乗って空港まで向かう
「お父さん、遅れないでね?」
「むずがゆいな、、」
「えー?」
「いや、いい、、・・・・なぁ、瑞希」
「ん?なぁに?」
「父親になるチャンスをくれてありがとう」
桂さん・・・おとうさんは泣きながらそう言った
空港のロビーについた姉さんがこちらに手をふっている
「瑞希くーん♪」
「姉さん、元気だね」
「はぁ、、癒される、、」
ぎゅーっと抱き締められて
まわりの人たちはみんな二人に視線を送っている
「ずら、荷物持って」
「おう」
「愛想良くなったね」
「そうか?」
姉さんと桂さんは今まで通りらしい
時間が迫るにつれて
胸の痛みも強くなっていく
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